四国山岳紀行 No353-060729前赤石 (まえあかいし) 1677m △無
                   愛媛県四国中央市/新居浜市 地図 別子銅山(北東)   山岳紀行トップへ


           西側からの前赤石                        峨々たる岩稜が続く

前赤石は八巻山と物住頭との中間に位置する岩峰で、東西から眺めると黒々とした円錐形の堂々とした山容を見せている。その険しい岩峰を巻いて南壁に東西赤石山への縦走路がつけられている。前赤石に取り付くルートは険しい岩峰とブッシュの連続で、容易に人を寄せつけないようで、一般のハイカーには敬遠されているようである。


           瀬場登山口から出発                      長い漠を引く八間滝

西側に物住頭というビークが有るが、ここから東を眺めると前赤石の前衛の険しい岩峰が立ちはだかるように聳えている。さらに雲ノ原まで下って見上げると、こちらの方が物棲頭の名に相応しい岩峰で、頭上に迫る岩峰は一度見たら印象に残るほど迫力がある。今回はこの岩峰からアタックすることにした。


           瀬場谷分岐の道標                        急峻な森林帯を登る

前赤石は東西赤石山の中間に位置するため、取り付き点までのアプローチが長い。昔は北側の五良津から雲ノ原に登るルートが有ったが、沢の崩壊などで現在は絶たれており、別子側からの登りとなる。赤石山荘を目指して瀬場からの登りとなった。早朝といえどもこの時節は気温が高いので、汗を拭いながらの登りが続く


           中ほどの沢2を渡る                       沢筋に咲くヤマアジサイ
   
瀬場谷分岐からは左にコースをとって谷沿いに進んで行く。最初の沢1までは急登が続くが、殆んど樹林帯なので直射日光を遮ってくれるのでありがたい。沢1からは右岸に渡り、谷沿いに緩やかな登りのあと、小沢をトラバスして再び沢2に下り立つ。沢の右岸に架けられた丸木橋を越えて暫らく進んで行くと、最後の沢3を渡渉して左岸に取り付く。


          稜線下にある赤石山荘                      山荘周辺のシモツケソウ

ここからは山荘に続くトラバース道まで、石ころの多い急登が続くが、高度が上がったのか冷たい風が汗を沈めてくれる。モミの林を抜けると眼前に八巻山の岩峰が目に飛び込んできた。植生は変わってシモツケソウやウバタケニンジン、オトメシャジンなどが風に揺れている。眼前に聳える岩峰を仰ぎながら間もなく赤石山荘に着いた。


          稜線分岐の石室越え                         コル南面の岩場

冷たい水を補給してトラバース道を西へ歩を進める。稜線道への峠、石室越を過ぎて下って行くと前赤石とのコルに着いた。視界は開けて前方に、これから向かう前赤石の黒々とした岩峰が聳えている。コルからは南北に急峻に落ち込んでおり、北側は五良津谷の先に関川方面が見えている。南側は眼下に別子ダム湖が青く水を湛え、背後に平家平などの脊梁山脈が続く。


          コルの道脇には花が多い                     コルから見た前赤石

コルの道脇には今は盛りとシモツケソウやイワキンバイ、コカラマツソウなどが群落を作って目を楽しませてくれる。コルを過ぎるといよいよ難所の前赤石の南壁のトラバースにかかる。岩壁の隙間を少しずつ高度を下げながら、つけられたトラバース道を雲ノ原まで進んで行く。ギボウシの花は殆んど終わりかけていたが、まだ盛りの花も所々に見られる。


          前赤石の南壁を巻く                      周辺にはギボウシが多い

花の多い岩場のトラバース道で退屈しないが、南側は急峻に落ち込んでいるので、滑落すると命がないので気が抜けない。岩峰が頭上に覆い被さるようになると雲ノ原に着く。西には物住頭、その向こうに西赤石山が三角錐の秀麗な山容で佇んでいる。オーバハングしたこの岩峰をどこから巻いて上に出るか、ルートハンテングして行くがなかなか難しく険しい。


           前衛の険しい岩峰                        岩場に咲くコオニユリ

僅かにテラスになった場所には、ギボウシが群落を作っている。その間にコオニユリの目立つ花が一輪風に揺らいでいる。岩場を乗り越えながら遂に岩峰の上に立つ。北側からの風が強く岩場に立つ足元のバランスを狂わしそうになる。稜線の岩場を伝いながら東のピークを目指す。岩場の途中には所々にブッシュがあって案外前進に時間がかかるようだ。


          岩場に咲くイワキンバイ                       峨々たる岩場が続く

苦心しながら前衛のピークに着くと、目指す前赤石のピークがまだ先に控えている。更に悪化する稜線を大岩を巻いたり、ブッシュを巻いたりしながら稜線を詰めていく。ブッシュを潜り大岩の裂け目を抜けて、岩場を這い上がると前赤石の頂きに着いた。狭い頂上の大きな岩の上にケルンがあるのみで、標識もない寂しい山頂で有るが、眺望は360度ですこぶる良い。


           前赤石山頂に立つ                        山頂より西赤石山

北側からはガスが吹き上げてくるので、瀬戸内側の眺望は望めないが、南側の眺望は眼下に別子ダムが俯瞰でき、周囲の山岳美と相まって広大な眺望だ。ここに立つ者のみが味わえる素晴らしい眺望である。下りは、ここから稜線を更に東進しながらコルに向かう。ブッシュが更に激しくなるが、できるだけ稜線を外さずに進んで行く。


                   山頂より南側の眺望 奥に平家平から笹ヶ峰

前進不能と思われる所も模索して行くと何とかルートを見つけ出せるものである。次のピークからは更にブッシュが深くなり、すぐ前方下にコルの道が見えているがブッシュが可なり深いようだ。南に下る踏跡が有ったのでブッシュをかき分けて下って行くと、コルより少し西よりのトラバース道に出た。ワンピッチでコルに着き暫らく休憩する。


          コルから北側の眺望                        コルから奥に赤星山

ガスが切れて北側の視界も開けてきた。新居浜市街から四国中央市街、更に観音寺市街までもが、くっきりと海岸線に続いているのが見える。去りがたい開けたコルを後に、歩いて来た前赤石の稜線を目に焼付けて峠を越え赤石山荘まで下って行く。そよ風に揺らぐ花々の向こうに、八巻山の岩峰を振り仰ぎながら往路を下山して行った。


           八巻山を見て下山                         岩場のコオニユリ

《コースタイム》 瀬場登山口 20分→瀬場分岐 15分→八間滝 20分→ 瀬場谷分岐 55分→
          沢1 25分→沢2 25分→沢3 40分→赤石山荘 1時間→雲ノ原 40分→
          前衛ピーク 40分→前赤石頂上 35分→コル 30分→赤石山荘 35分→沢3 15分→
          沢2 20分→沢1 55分→瀬場谷分岐 15分→八間滝 15分→瀬場分岐 15分→
          瀬場登山口   歩行時間 約9時間35分  難易度 123C5 
          前赤石へは登山道無し
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