四国山岳紀行 No351-060521戸中山 (とちゅうやま) 1261m △無
                              高知県いの町 地図 日比原(北東)   山岳紀行トップへ


           国道から見た戸中山                       稜線から見た戸中山

この山は稲叢山の南西側にあって、南面は4キロにわたる断崖層を連ねており、山頂はその奥に容易に人を寄せつけない様相で聳えている。西から大樽の滝、権現滝、西滝、東滝などの名瀑が断崖層を落下していて、吾北のナイヤガラと言われている。R194国道が陸橋となってカーブする辺りからは、東にこの山の全容が垣間見られる。

この山のアクセスは、カーブの陸橋になった国道を高知方面に下って行く。左側に「グーリンパーク程野入口」と看板の架かった程野黒丸線に入って行くとすぐに発電所があり、そのまま道なりに3キロあまり進んで行くと、谷を渡って左へ折り返して登って行く。道路の入口に西滝の案内板がある。


         アクセス道終点の登山口                      ガクウツギが迎えてくれた

道は数回じぐざぐを繰り返しながら、民家と畑の間を高度を上げながら進んで行く。終点が西滝への遊歩道入口となっている。車の迂回に邪魔にならないように駐車して遊歩道を進んで行くと、西滝の下流の沢の渡渉点に着く。雨が続いた後なので水量は多く、僅かに露出した石の上を緊張しながら右岸に取り付く。


            最初の渡渉点                            最初の分岐点

猪の掘り返した竹林の間の悪い道を過ぎて、人工林と自然林の混じる中を高度を上げながら進んで行くと、大樽の滝、権現滝方面と西滝への指導標の有る分岐に着く。右に西滝へのコースを進んで行く。岩壁の下を抜けると西滝展望所に着く。眼前には三段となって天空から落ちているようなスケールの大きい西滝の全容が目に飛び込んできた。


           展望所からの西滝                        垂直の崖がそそり立つ

落差100mはあろうか、一番上の滝は下からは見えないが、滝つぼが有るようだ。眼下には先ほど辿って来た民家と登山口が小さく見えている。ここからは岩壁の下を巻きながら、西滝の下まで下って行くと大きな岩石が重なる滝下の沢に出た。瀑から可なり離れているのだが、水しぶきが風を呼び飛沫となって吹き付けてくる。ここも増水して対岸に渡るルート取りに緊張する。


            西滝下の道標                           東分岐の道標

水しぶきを浴びながら左岸に出ると指導標が有り、東滝、渓谷へとある。振り返ると飛沫を上げながら、天空から落ちて来ている様な西滝のスケールに圧倒させられる。ここからは上に続く二段の滝は見えない。左岸からは水平道を進んで行くと、分岐があって再び指導標が有る。真直ぐ進むと水車小屋へ、東滝、渓谷への山側へ少し登って行くと、またすぐに西滝滝の上渓谷へ0.2kmと記された指導標が有る。


          東分岐から崖下に着く                      崖上に至るガレ場の急登

ここから岩壁の上に向かう直登ルートに入る。道は次第に悪くなって、岩壁の下は木に掴まりながらの急登が続く。見上げると頭上高く奥に続く急坂を滑らないように赤テープを辿って行く。少し危険な箇所も有ったが、やっと崖上部の水平道に合流した。右へ東滝渓谷へ、左へ西滝上部の渓谷に向かう。やがて道は西滝上部の谷沿いに進むようになり、谷を渡って右岸に取り付くようになる。


                          西滝上部の渡渉点

沢に出ると上部には水量の多い小振りな滝が落ちており、新緑と真赤なツツジが映えて見事である。渡渉点の飛び石はすっかり水没してしまっており、少し上流へ高巻して何とか左岸に取り付いて対岸に出る。ここからは階段状の坂道を登り切ると、「水源かん養保安林」の看板の有る分岐に出る。戸中山へは真直ぐ渓流沿いに進むのだが、左へ向かってしまった。


                       高度を上げて渓谷沿いを行く

斜面にかかる幅広い木橋を渡ると、大岩からの展望所らしき所が有るが、そこから少し道は薮っぽくなって、北に方向を変える辺りから道は良くなり、植林の間を真直ぐ緩く登って行くと、尾根を越えて下っていくようになった。沢にかかる立派な木橋を過ぎて更に進んで行くと、大樽の滝へ、の道標があった。戸中山は遠退いていく感じでここから引き返すことにした。


           林道に飛び出した                         林間に咲くオンツツジ

引き返していると、橋の手前でアライグマらしき動物が目の前に現れて茂の中へ消えていった。分岐まで戻ること1時間近く時間を費やしてしまった。正規の道に戻って渓流沿いの道を辿って行くと渡渉点に出る。ここも水量が多いので緊張しながら何とか対岸に渡る。沢が二俣になって、中洲に出てまた渡って、両谷の間の植林帯を進んで行くと、無舗装の幅の広い立派な林道に出た。


                    林道を横切って間もなく最後の沢を渡る

どこから登ってきているのだろうか、林道はまだ新しいようで最近車の通った形跡はない。長さ1.5m、胴幅5cmほどの大きな蛇が道の真ん中に寝そべっている。人の気配に慌ててか斜面を猛スピードで逃げていった。こんな大きな蛇を見ると一瞬全身に寒気が走る。林道で少し休憩して登山道に入ると間もなく最後の沢の渡渉点に出る。ここは水量は少なかったので難なく右岸に渡れた。


          沢筋から離れて尾根へ                      林床に咲くナルコユリ                

少し沢沿いに進んでシロモジの混じる人工林の中を高度を上げていく。沢の音が聞こえなくなった辺りから急登を繰り返しながら稜線に出る。東へ良く踏まれた稜線道を間もなく最初の痩せた小ピークに着く。東に戸中山のピークが見えている。小さなアップダウンを繰り返しながら開けたNTT反射板跡地に着いた。西から北にかけての眺望が開ける。奥に長沢ダム湖が光り、正面には長沢山が存在感を見せている。


          尾根筋から見た戸中山                       笹が刈られた尾根道

その奥に手箱山から石鎚山にかけての山塊が聳える。北には稲叢山が近くに、ごつごつしたピークを覗かせている。雄大な眺望を楽しみ、東へ続く稜線道を進んで行く。笹は綺麗に刈られて見通しが良くなり、快適に歩けるようになっている。鳥獣保護区域の看板を過ぎて、境界石標のある小さな峠のコルで一息入れる。ここは風の通り道か、冷たい風が汗ばんだ体に心地よい。


           大岩を右に巻いていく                       ブナ林の育つ山頂

稜線道は少し北側に巻いて行くと、突き当たりに伐採用の錆びたワイヤーと引き止め用のゴムが、立木の根元に取り残されており、かっては戸中側から作業されていたと思われる。ここから折り返して再び稜線を進んで行くようになる。少し勾配がきつくなり、大岩の右手を巻いて進んで行く。山頂が近づいたのか、石混じりの急坂を登りつめると、間もなく山名標識の立つ山頂に着いた。


                     反射板跡地から見た長沢山と長沢ダム

山頂は眺望は利ないが笹が刈り払われて明るく広々としている。奥に続く踏跡は稲叢山へのルートだろうか。すっかり様変わりした山頂と、スズタケの茂る難儀な尾根道は快適なルートに変わっていた。かって平家の安徳天皇一行はこの地に少し留まって越智町に向かったという。途中に留まったことから戸中という地名が付いたらしい。山名はこの地元の地名を頂いたものである。


《コースタイム》 登山口 40分→西滝展望所 25分→西滝下渡渉点 10分→水車分岐 20分→
          崖上分岐 15分→西滝上渡渉点 20分→二俣沢渡渉点 10分→林道 2分→
          最後の渡渉点 40分→稜線 13分→反射板跡 50分→山頂 40分→
          稜線分岐 20分→林道 25分→崖上分岐 20分→水車分岐 40分→登山口 
          歩行時間 約6時間30分 登山道 整備されているが難所あり 難易度 123C5    
                                                     
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