四国山岳紀行 No284-031005 福見山(ふくみやま) 1053m △4(福見山) 
                            愛媛県松山市 地図 東三方ヶ森(北西)  山岳紀行トップヘ

福見山1053m は愛媛県松山市と東温市の境にあり、三角点は松山市側にある。この山は明神ヶ森への縦走路上にある山で、明神ヶ森とセットで登ることができるが、今回は時間の関係で福見山だけの最短コースを辿ってみた。国道11号線から重信川の右岸を7キロほど行くと、砕石工場の間に福見観音道の古い石標があり、そこから採石場への広い無舗装道を山手に進んで行く。採石場に迷い込まないように真直ぐ行くと奥に続く林道にとりつく。


                     福見寺本堂右の参篭堂の裏に登山口

林道は細く急勾配で大きな石ころがごろごろしているので乗用車では無理である。多くの急カーブを高度を稼ぎながら進んで行く。865mのピークを西に巻く辺りから道は緩くなる。ピークを巻き終わると876m地点の福見山を巻いて行く明神ヶ森へのルートの入り口がある。ここは少し広くなっており、四駆車が一台止っていた。その脇に野生の猿が数匹群れを成していたが、慌てて林の中に逃げて行った。ここから更に車道を進んで行き、水場を過ぎると福見寺は近い。


                           登山口の道標

福見寺は無人の山寺で山号は「俵飛山」(ひょうとびざん)で、奈良時代の養老2年(718)の開基と伝えられ、神亀年間(724〜729)に鎮守として蔵王権現が祭祀された。また平安〜鎌倉時代は修験の霊場となり、本尊である水月観音菩薩は、インドの僧・善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう)作と伝えられる。木造聖観音菩薩立像は県指定文化財となっている。


                       鎮守堂の前から人工林の中へ

また俵飛伝説があって伊豫温故録によると「山之内村の北方二里十四町福見山に在り、創建年月詳ならず、俚諺集に云、法道仙人は天竺人也、或夜紫雲に乗して我朝に来る、播磨国法華山に住し、常に法華経を誦し秘法を修したり、天竺より持来る物は千手観音銅像舎利寶鉢等也、大化元年八月船頭藤井に就て鉢を乞ふ、藤井公米なるをもて施さず、其の時鉢空しく飛去しが数多の米俵鉢を追ふて飛去る、

藤井大ひに驚き、科を謝せしかば米俵飛帰るを本の如し唯其内の一俵南の河上に落つ、是より此地福人多し、此故事に由りて此寺を俵飛山福見寺と號す」とある。ある年、日照りで山之内村が飢饉に見舞われた。法道仙人は、村人の救済のため、托鉢をして回っていた。仙人が風早の浜を通り掛かったとき、船床いっぱいに米俵を積んだ船が停泊しているのが目に止まった。そこで仙人は「一俵で良いから分けてはくれぬか」と懇願したが、「これは都に納める大事な年貢だから分けてやることはできぬ」と断られた。


                  人工林の中のきつい登りから自然林の稜線道を行く

その後、船は出港していったが、間もなく突風が吹き、船上の米俵は空へと舞い上がり、そして南方の山にめがけて飛んでいった。船頭や役人が米俵を追い掛けていくと、辿り着いたのは福見山寺であった。米俵は本堂の前に積み重なり、その前で仙人が読経していた。船頭らは断りを入れ、米を戻すことを懇願し、そして仙人は1俵だけ貰うと、すぐさま残りの米俵をもとの船まで再び吹き飛ばしたという…。


                     爽やかな自然林と人工林の稜線を行く

林に囲まれた静かな山腹の広場には本堂、鐘楼、鎮守堂、参篭堂が建ち、手前には近代的な雨量測候施設が建っている。登山口は本堂と参篭堂の間にあって大きな標識がある。急坂を登って行くと鎮守堂があり、その前から右に笹の中へと踏跡は続いている。間もなくよく手入れされた植林帯の中の急な直登が続く。


                   尾根端から少し下って東へ痩せ尾根を詰める

踏跡は所々消えかかって判りにくい所があるが、赤テープの目印を追って行くと稜線に辿り着く。
稜線からは西側は自然林の尾根歩きとなる。古い倒木が見えて来ると頂上は近い。林に囲まれた尾根の端は少し平になって道標がある。三角点へはここから北へ下って行って、登り返した400m先の1001mのピークにある。


                       痩せ尾根の途中に基準点を確認

頂上は東に明神ヶ森へ向かう縦走路を200m進んだ尾根上に1053mの基準点と山名標識がある。そこから更に東に進んで行くと明神ヶ森へと続くが、今回はここで引き返すことにした。周囲は木立に遮られて眺望はいまいちである。植林帯の中の急な下りは滑らぬよう特に気をつけたい。福見寺に山行の無事を祈願して福見山を後にした。

《コースタイム》 川内インター 15分→採石場入り口 25分→福見寺 30分→福見山頂上 20分→
          福見寺 歩行時間 50分 難易度 1A345
          駐車場 福見寺広場  登山道 よく踏まれている
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