四国山岳紀行 No283-031004 杖立山(つえたてやま) 1133m △3(北川) 
                                高知県大豊町 地図 繁藤(北東)  


          岩場から見た杖立山                         登山口にある指標

杖立山(1133m) は高知県大豊町の西南部にあって、梶ヶ森県立自然公園の西端に位置している。この山へのルートは数箇所あるが、今回は西側から登ることにした。大豊ICを降り国道 439号を右折し、新高須トンネルを抜け国道32号を右折する。国道32号を穴内川に沿って、高知方面の北川口橋まで行く。橋の手前にはJR土讃線の鉄橋が架かり、そのまま鉄橋上が土佐川口駅となっている。

北川口橋より林道北川線を久寿軒(くすのき)まで行き、郵便局の前から左折して林道久寿軒線を通って、最終の伊与木の集落で車道は終わって登山口の標識がある。車2〜3台分の駐車スペースがあるが、車の回転場所でもあるので地元の人に迷惑ならないよう注意が必要だ。


                      登山口には指標があって判りやすい

小道に入って行くとすぐ分岐があり、左側に民家があって登山道は反対側の畑の下を右に折れて行くと植林帯の中の登りとなる。植林して40〜50年にはなろうか立派に育っている植林帯の中を30分ほど登って行くと、少し開けた所に枝を大きく広げた立派な赤松が現れる。樹高 8.5m 胸高周囲 3.0m 根本周囲 3.4m 推定樹齢 300年といわれ、直径15m ほどの樹冠の枝ぶりは見事である。


                       人工林の空間に笠松がある

言い伝えによると「 枝振りの良い松の木は天狗の止まり木だから切るべからず。また、笠松は切ってはいけない。」と言われているように、ここだけ赤松の周辺は植林されずに空間となっている。『大豊町史』によると「笠松の前の道は大豊町黒石から北川に抜ける土佐北の街道であった。天正二年(1574)長宗我部元親が四国制覇のため阿波に進攻した際も、岡豊〜新改〜甫喜ヶ峰〜北川〜杖立峠〜黒石〜川戸〜大砂子〜据野越〜阿波下名に攻め入っていることが戦史に残っている。


                     峠までは人工林が続く中に大岩もある

また元弘元年(1331) 後醍醐天皇は隠岐に、第一皇子尊良親王は土佐の幡多に遷された。王妃に土佐から使いが出され、王妃は京都から阿波を経て杖立峠を越し、新改の入野まで来られたとき、親王は京にご帰還と聞いて再び京に引き返した。」と記されている。笠松の下にたたずむと、昔の旅人や通行人がこの木の下で一時の休息をとったことが想像できる。


         送電鉄塔の下を潜って行く                     杖立峠からは南に開ける

再び植林帯の中をだらだらと緩い登りが続く。前方が明るくなったと思ったら送電鉄塔(No106)の下に出た。鉄塔の下から再び植林帯の中を登りつめると開けた杖立峠に着く。峠の右側には送電鉄塔が建ちここからの眺望も良い。足元にはヤマナデシコが咲いている。


          峠に咲くヤマナデシコ                        峠から左に進んで行く

「この一帯には広島、岐阜、長野、高知の一部にしか生息していない「マルバノキ」(ベニマンサク)が自生していることで有名である。高知県では杖立山周辺と土佐町の一部に自生し、本数も限られている貴重な落葉低木である。」と案内板があったので周辺を観察したが確認は出来なかった。峠から左に尾根道を暫らく進んで行くようになる。この時期、道脇にはミヤマママコナやヤマノジギクが賑やかに咲いている。


                        賑やかに咲くミヤマママコナ

稜線道は少し下りになって再び植林帯の中に入って行くと、西側からの登山道との合流点を過ぎて、「和田登山口へ」の道標のある所から左へ折れて、植林帯の中を登って行くようになる。植林が切れて自然林の権木帯に変わってくると、嶺北ネイチャーハントの山名標識の立つ岩場のピークに出る。


                      岩場のピークからは眺望が開ける

ここからの眺望は素晴らしい。東に鉄塔の立つ梶ヶ森が近くに聳えている。南には高知県の嶺南の山々が波打ちながら太平洋へと続いている。先ほど歩いて来た鉄塔の立つ杖立峠が眼下に確認できる。このコース随一の展望所であるので暫らく休憩して行こう。


          東に梶ヶ森が聳える                      南に高知平野と太平洋が見える

三角点へはここから西の尾根を行くのであるが、北へ続く刈り込みの境界尾根へ間違って進んでしまった。300mほど進んで尾根が東に向きを変えて下り始めたので引き返す。元の岩場まで戻って方向確認して西側に延びる尾根へと進んで行く。今度は踏み跡も確かりしているので間違いないようだ。


          岩場から北側の眺望                        岩場から南側の眺望

頻繁に歩かれていないのか所々権木や笹が絡む。岩場が二箇所あり岩の上に立つと330度の眺望が開ける。ここからは白髪山を始めとする北側の嶺北の山並が見えている。その奥に県境の山々が霞む。東から南にかけては先ほどの岩場と同じだ。惜しいかな西側あとの30度は権木が成長して遮られている。


                         杖立山の三角点を確認

岩場を過ぎてヒノキと自然林の混じる中を進むと、最近伐採された空間の明るい広場に出た。中ほどに三等三角点と手書きの古い山名標識が立っている。刈り払われているとはいえ周囲はヒノキと雑木林で眺望は望めない。記念撮影をして往路を下って行く。誰にも会わない静かな杖立山であった。

《コースタイム》 伊与木登山口 30分→笠松 45分→杖立峠 35分→岩場頂上 10分→三角点 25分→
          杖立峠 25分→笠松 20分→伊与木登山口  歩行時間 約 3 時間10分
          駐車場 登山口 登山道 整備されている  難易度 12B45
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