四国山岳紀行 No281-030824 チチ山(ちちやま) 1855m △無 
                    愛媛県新居浜市/高知県いの町 地図 日ノ浦(北西)  山岳紀行トップヘ



新居浜市の国領川橋から南を眺めると、奥に笹ヶ峰と肩を並べるようにその東側に聳える山がちち山である。「乳山」は元来「笹ヶ峰」の「母山」に対して「父山」と呼ばれていたようで、瓶ヶ森の「男山」「女山」と同じような山岳信仰から来ているらしい。もともと昭和初期に、有名な木下伝次郎によって創始された「石鉄教」の流れを汲む信者によって今も信仰が受け継がれている山の一つである。


         林道脇の崖を登って行く                      トンネル南口から林道へ

この山へのアプローチはほとんどが笹ヶ峰からの縦走が主であるが、今回はこの山の単独登山を実行すべく、大永山トンネルから大坂屋敷、馬道の別れから1480m 峰を経て稜線に至り、乳山別れで「笹ヶ峰〜平家平」縦走路に合流するコースを辿ることにした。新居浜インターから大永山トンネル南口の登山口までは30分あまりの行程であるが、県道拡張工事のため時間制限通行がある場合がある。トンネルを別子山に抜けるとすぐ右側に電話ボックスと駐車スペースがある。


       トンネル南口から1640m峰(右上ピーク)                 しばらく沢の左岸を行く

トンネルを出た所の林道をチェーンを跨いで20m ほど進むと、山側に標識があって崖をよじ登れば確かりした道が沢に沿って延びている。途中小沢に架かる朽ちて壊れた木橋を巻いて進んで行く。左側には木の間越しに見えている渓流が美しい。渓流に下る道を見送って進んで行き、正面に小滝が現れて大岩の下を巻いて道は滝上に出る。滝の下の渓流は滑となっており、俯瞰できる。


         沢を通って右岸に取り付く                    開花の終わったギンパイソウ   

滝の上は川原状の広い沢になっていて、流れを跨ぎながら対岸の取り付きまで沢の中を進んで行く。右岸に取り付き少し沢沿いに進んで行くと植林帯の中の登りとなる。ゆったりとしたじぐざぐを繰り返しながら、桧林を登り詰めると稜線道の分岐に出て左に笹ヶ峰方面に進む。両側にススタケの茂る道を進んで行くと旧馬道の「土山越え」に飛び出す。


           土山越えの標識                         土山越えに飛び出す

左に少し進むと指導標があって、登山口から伸びてきた草ぼうぼうの林道と稜線道の分岐に着く。真直ぐ進んで笹ヶ峰への稜線道をトラバース気味に進んで行くと、前方に木立の間から自然林に覆われた1480m峰が大きく聳えているのが見えて来る。四国電力の保線路を見送って進んで行くと、指導標の立つ奥七番の上部歩道との分岐の「馬道の別れ」に着く。


            馬道の別れ                          こんもりと聳える1480m峰

広い道を進んで行くと間もなく指導標があって、笹ヶ峰へは左に折れて1480m 峰を直登していくようになる。以前は真直ぐ進んで行き、旧キャンプ地手前から奥七番越えに繋がるコースであったが、沢筋での道の崩壊が著しく通行困難となっている。従って最近新しく稜線コースが作られた。1480m 峰頂上までの急勾配はかなり堪えるが、原生林を観察しながらゆっくり登って行こう。


         1480m峰へのきつい登り                      ここから左へ登って行く

静かな林の中にキツツキの木を叩く音が響いて、赤い艶々した幹のヒメシャラの大木などもある。急な登りにうんざりする頃、道は少し緩やかになって、頂上直下の岩場の下の岩が転がる台地に着く。ここには時節に咲く草花が群落を作って目を癒してくれる。目の上にはブナの巨木が現れる。目通り3.5m 高さ15m 以上はあろうか、登山道脇にどっしりと貫禄のある幹で枝を天高く広げている。


           1480m峰はもう近い                        1480m峰頂上に着く

視界が開けて最後の坂をよじ登ると「1480m 峰」の頂上に飛び出した。狭い頂上には四等三角点があり、周囲は開けているがガスがかかり見通しが利かない。頂上からは「奥七番越え」のコルまで暫らく緩い下りとなる。コルには指導標があって、キャンプ地手前からの登山道が登って来ているが、使用されていないので崩壊してかなり荒れている。ここから稜線を主稜線のちち山別れまでアップダウンしながら、ピークを二つほど越えて行くが大きな上り下りは無い。


          稜線への笹は案外深い                      遥か上に稜線が見える

稜線道はしだいに笹が多くなって権木帯を抜ける頃は、足元が見えなくなるほど笹が深くなり、窪みに気をつけて進まなければいけない。広がる笹原の奥に主稜線が遥か上に見えておりうんざりする。その左肩にせりあがった冠山がガスの切れ間に見え隠れする。目指すちち山は笹原の稜線に隠れて未だ見えない。それほど広くて風景的には感じのよい所だが、あの稜線まで登らなければいけないという遠さが気分的にがっくりさせる。


           稜線の分岐点道標                          縦走路をチチ山へ

幸いにガスが流れて真夏の直射日光に曝されないが、それでも時にはガスの切れ間から陽が差すと、体感温度が急激に上がって来るのが感じ取れるが、吹き上げてくる冷たいガスに助けられて、ようやく「ちち山別れ」の主稜線に出た。振り返ると登って来た稜線が遥か下に見えている。ここからはよく踏まれた縦走路が東西に延びており、その広大な山岳美と相まって快適そのものである。


           南側に広がる笹原                         最後のチチ山の登り

ちち山へは右(西)に笹ヶ峰方面に進んで行く。眼前に大きく1766m 峰の岩峰が盛り上がっている。その岩峰の上に白い綿雲が湧いて夏の青空が広がり、笹の緑と黒い岩、白い雲、蒼い空、そのコントラストが何となく調和して美しい。その岩峰を巻いて道は高知県側にトラバースしている。眼下に広がる笹原の下に一の谷が広がって高知県の山並が霞む。


        キアゲハとアキノキリンソウ                     よく目立つイシヅチアザミ

眼前には笹ヶ峰が段々と近ずいて来る。その奥には寒風山と伊予富士が霞む。トラバース道の途中にチチ山へ登る分岐がある。急勾配の直登だが五歩進んでは一歩休み休みで登って行く。最後の急坂は頑張りどころ長くは続かない。頂上直下は足元が笹に覆われて判りずらくなるが、足元のトレースを気をつけて辿って行けば、岩の上にステンの祠が祀られた山頂に着く。


         チチ山山頂からの南望                        頂上からの眺望は雄大

この高さからにして開けた山頂からは雄大な眺望が展開する。ただ北側はガスのため白一色であった。山頂からのダイナミックな展望を楽しんでちち山を下って行った。

《コースタイム》 登山口 50分→縦走路 10分→土山越え 20分→馬道の別れ 50分→
          奥七番越え 35分→ちち山別れ 20分→ちち山頂上
          ちち山頂上 10分→ちち山別れ 55分→奥七番越え 30分→キャンプ地 30分→
          馬道の別れ 15分→土山越え 50分→登山口  難易度 123C5
          駐車場 トンネル南口路肩に4〜5台可 登山道 1480m 峰までは整備されている
 ページの最初に戻る