四国山岳紀行 No279-030803 権現山(ごんげんさん) 1594m △4 (権現)
                      愛媛県 四国中央市/新居浜市 地図 弟地(北西)  山岳紀行トップヘ  


          稜線から見た権現山                       中央の鉄塔の右が権現山

東赤石山東部に位置する権現山は、東から二ッ岳、恵毘羅(エビラ)、黒岳、と続く峨蔵山塊の西端に位置し、これらの山塊は北の瀬戸内側から眺めるとアルプス並みの急峻な山岳景観を醸し出している。それだけに熟練者だけが制覇できる山域でもある。この山域一帯には、榴輝岩(エクロジャイト)と呼ばれる、世界的に有名な岩石が分布している。

エクロジャイトは、玄武岩などの火成岩がプレートの沈み込みによって地下数百kmの地殻深部まで運ばれ、高圧下で生成されるとされ、緑色の輝石類と赤色のガーネットを主体とする美しい岩石で、マントルの構造を知るための得難い情報を提供している。そんな岩がなぜ地表に露出しているのかは、今もって謎のままで世界中の地質学者の研究対象となっている。露出場所も世界でも数えるほどしか存在しないが、権現越一帯は、その貴重な一ヶ所である。


                        突出した榴輝岩の権現岩                          

最初ここを訪れたのは40年も前のことであるが、地質や岩石については興味が無く、ただ、変わった岩があるぐらいにしか思っていなかった。権現越えの東にある法皇権現を祀る権現岩の側を通ったときは、なぜか無気味な霊感を感じて素早く通り過ぎたのを今もはっきり覚えている。その権現岩の側を40年ぶりに通ることになるが? 


                        登山口の民家の下の石段を上がる

東赤石山登山口のある瀬場から東に1キロほどの所に、権現越への床鍋登山口がある。床鍋地区の西の外れの県道脇の山側に通ずる道路の入り口に、標識が有るので舗装道を上がって行くと、400m進んだ所のカーブを曲がりきった所が登山口となっている。すぐ上には民家があってその前の石段を上って行くと登山道に入る。右手に砂防堤を見て鬱蒼とした植林帯の中を暫らく登って行くと尾根肩に出る。ここに標識が有って道は右に折れて、雑木林と植林の境を水平に進んで行く。


                        最初は植林帯の中を行く

再び植林帯の中の道となって大きく折り返しながら高度を上げて行く。鉄板橋の架かった小沢を渡り、更に小さな鉄板橋を幾つか越えて行くと水量の多い沢に出る。石を飛び越えて沢を渡り、高度を上げて行くと分岐に出る。


                         幾つかの沢を越えていく

真直ぐ進めば瀬場谷に向かう電力の保線路で、標識に従い右に折れて行くとすぐに、電力の保線路が谷に下っているのを見送って、(帰りはこの保線路を下って来ることになる) 植林と雑木林の交互する道を高度を上げながら進んで行くと、シャクナゲが多くなり、しだいに岩混じりの道となって大きな岩が点在してくる。


                    シャクナゲ林を過ぎると岩場の登りにかかる

そこを登りつめるとガレ場の沢に出る。一瞬道は消えてためらうが沢を石伝いに少し上って向かい側の道に取り付くようになる。ガレ場からは南に視界が大きく開けて、東光森山や大座礼山などが視界に飛び込んでくる。この辺りからピンクのシモツケソウが目立って来るようになる。


                      ガレ場の沢からは南に視界が開ける

ガレ場を越えると岩混じりの少し歩きにくい道となるが、しだいに道端には草花が多く見られるようになり、樹林帯を抜けると目の前に草原が広がって、稜線までシモツケソウ、クガイソウ、ツルギハナウド、ツリガネニンジンなどが入り混じって、お花畑を作って目を楽しませてくれる。


                        ひときわ目立つシモツケソウ

右上に権現岩がひときわ目立って来ると稜線に出る。北側はザレ場となって深く落ち込んで、覗くと足が竦むほどだ。ここから西に行くと東赤石山へ、権現山へは東に権現岩の側まで急坂を登りつめて行く。振り返ると東赤石の取り付き尾根にガスがかかり始めて壮観な眺めだ。目の前に権現岩が近づいて来る辺りから、足元が見えなくなるほどブッシュとなって前進を妨げられる。


                      この季節権現越えはお花畑が広がる

以前は背の低い笹原で通過し易かったのだが、最近はあまり権現山の方面には行く人が少ないのだろうか、道は大変荒れている。また近くの権現岩の手前はブッシュが成長して林となり、以前のような霊気が感じ取れなくなっている。鉄塔までブッシュをかき分けながら進む。


         登山道脇に咲き乱れる花々                    コオニユリも見受けられる

鉄塔からは保線路なので下草が刈られ整備されているが、150m先の権現山への分岐からは、足元が見えないブッシュの覆い被さる道が権現山頂上まで続く。足元が見えないので岩に躓いて前に思いっきりドスン、体が宙に浮くこと数回、ブッシュがクッションとなって事無きを得たが、それにしても悪路である。(現在は登山道と頂上は刈り払いされている)


         稜線の鉄塔を潜って権現山へ                   西に東赤石山方面を望む

高度が上がってやっとブッシュを抜け出ると、三角点を示す国土地理院の白い標識杭と、比較的新しい基準点の標柱が笹に埋もれて立っていた。頂上は狭くブッシュと林に囲まれて南西側の眺望があるのみである。期待していた東側の黒岳やエビラ山は林に遮られて見えないので、少し東に縦走路を20m程下って茂みの中に分け入ると、樹間からかろうじて見える所があった。



                         笹に埋もれた権現山山頂の三角点

鉄塔まで下って南に開けた大展望をもう一度楽しむ。延々と続く送電鉄塔に視線を追って行くと脊梁山脈を越えて、もう一つ先の山脈の稲叢山を越えて来ているのが確認できる。鉄塔周辺もハナウド、クガイソウ、シコクフウロ、タカネオトギリソウが所々で群落を作っている。帰りは鉄塔沿いに整備された保線路を下って行くことにした。


           渡り蝶のアサキマダラ                      早咲きのリンドウの花

道は次の鉄塔まで約15分間隔で急降下している。峠の鉄塔から4本目のNo24鉄塔まで1時間である。この鉄塔のある支尾根から谷に急降下して、沢に架かった鉄橋を渡って少し登り返すと、最初の分岐の所の登山道に出る。再び水場の沢に出て冷たい水で喉を潤し、後は往路をどんどん下って行く。         
関連ページ 権現越えの花

         下りは送電塔沿いに下っていく                  遥か県境を越える送電線

《コースタイム》 床鍋登山口 1時間15分→水場の沢 1時間5分→ガレ場の沢 50分→権現越え
          25分→鉄塔 20分→権現山頂上 15分→保線路分岐 1時間→No24鉄塔 15分→
          沢鉄橋 10分→分岐 5分→水場の沢 45分→床鍋登山口  歩行時間 約6時間30分 
          駐車場 無し 路肩に駐車 難易度 123C5 
          登山道 権現越えまでと保線路は問題ないが権現山への稜線は藪が絡む
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