四国山岳紀行 No276-030503 鎌滝山(かまたきやま) 1116m △3(大淵)
                                高知県土佐町  地図 本山(南西)  山岳紀行トップヘ


                       早明浦ダム湖に映る鎌滝山

鎌滝山は早明浦ダム北面に聳える峻険な偉容を誇っている。鎖場を持つ石鎚信仰の山として知る人には知られている。ネイチャ−ハントの山として、そして最近出版された「山と野原を歩く」(山と野原の会編 高知新聞社 1998)に詳しい解説がなされ、登山者も多くなったと聞く。
「土佐町史」には次のように記されている。「・・(石鎚権現の)勧請年月日は不明である。神体は前神寺(森地区)に安置してあり・・鎌滝山の山開きには前神寺の僧が山に登っていたことを記憶する者がいる。・・山頂には通夜堂があり、女人禁制で一の鎖、二の鎖、三の鎖があった。

白装束に法螺貝を響かせてのお山登りの風景は、昭和40年ごろからは絶えてしまった。現在はご神体が山に登ることもない・・」 現在も頂上には三の鎖が薮の急斜面に残っていて昇降することができ、登山道もしっかりしていて問題はないが、車の駐車確保に少々困る難がある・・」 とあるが年月の流れとともに、この山にも新しく林道がつけられたり延長されたりして随分とアプローチし易くなっている。


                       国道から林道に入って行く

今までの登山口は早明浦ダム堰堤を経由して林道大淵線に入って、大淵集落から登り始めたが最近西の古味地区から新しく延長された林道大河内線を辿れば、上の登山口から時間を短縮して登れるようになって、駐車確保に困ることもなく便利になったのでこちらのコースをお勧めする。ダム湖に架かる最初の上吉野川橋の赤い吊橋を左岸に渡って、県道17号線を1.7kほどで最初に右に折れる道が大河内線で入り口に林道大河内線の標識がある。


                       登山口の林道から見た鎌滝山

広い舗装道を進んで行くと舗装は切れて作業舎の上で道は左右に分かれる。右に進むが道が細いので一旦左へ入り、広場で車を切り替えして右の林道を進んで行く。これから先は水場は無いので切り返しの広場には谷から水を引いているので補給すると良い。右に山腹を捲きながら新しくつけられた林道を進んで行くと山側に丸いポールに登山口と書かれた道標に出会い、右路肩側には「大淵へ下る」と書かれた場所に出会う。


                        林道脇の登山口と標識

かって登山道が林道工事のため寸断されて今は廃道に等しくなっており、林道肩の崖の上からは廃道になった稜線道が続いているようだが、ここからの登路を見つけるのは困難である。ここから林道を少し先へ進むと嶺北ネイチャーハントの看板がある正規の登山口に着くのでここから登る。ここは大淵から登って来た道に続いている。少し先の広くなった路肩に車3台程の駐車スペースがある。


         最初は人工林の中を登る                      林間から白髪山が見える

さて身支度していよいよ登山開始である。最初は植林帯の中を高度を上げて行くが振り向くと木立ちの間からきびす山が間近に、その奥に白髪山から奥工石山にかけての稜線が目に飛び込んでくる。一旦植林帯を抜けて潅木帯から竹林の脇を登り返して行くと、再び植林帯の中に入って丸いポールに書かれた分岐の道標がある。


                        分岐から稜線コースを行く

真直ぐ行くと正規の登山道で左へ植林の中の踏み跡を行けば稜線コースとなるが険しい道と書かれている。今回は左に折れて稜線コースを取る。薄暗い植林帯をよじ登れば間もなく稜線に出る。道は荒れておりイバラや小枝が絡むが稜線道は確認できる。下から登って来た稜線道は先ほどの林道工事で寸断された崖の場所に下るのかは確認していない。


          切り開けからの眺望                        林間に咲くヤブツバキ

少し進むと切り開けがあってここからの眺望が良い。眼下に早明浦ダム湖が手前に登山口のある大淵集落が確認できる。ここからは道は少し良くなり藪椿の咲く稜線を幾つかの岩を捲きながら進んで行き、アセビが目立つようになって来ると標高975m の平らなピークに出る。茂みに混じって鉄塔のコンクリートの基台が四隅に残っている。


                        自然林の静かな稜線を行く

このピークを越えた所が下の植林帯の中の分岐を真直ぐ登って来た合流点であるが不明瞭なので見落としやすい。ここまで林道の登山口より30分程である。どちらを来ても時間的には大差はない。この合流点からは良く踏まれた尾根道を緩いアップダウンを繰り返しながら進んで行き、岩の混じる急坂を登って行くと右手に見上げるような白い大岩の崖が眼前に立ちはだかる。


            窓ヶ岩への登り                          一枚岩の窓ヶ岩

この岩の崖は窓ヶ岩と呼ばれておりこの岩の上からの眺望が素晴らしい。狭い岩の間をよじ登るとこの崖の岩の上に出る。岩の上は10uほどの広さで平らになっており、一本の松がしっかり岩に根を下ろし、側に仲良く翌檜(アスナロ)が伸びている。下を覗けば目も眩むような断崖で東から西にかけての眺望が展開する。


           窓ヶ岩からの眺望                        きびす山と屋所の集落

東は奥工石山から白髪山がその向こうに梶ヶ森から杖立山の山塊、さらに南西に続く国見山から笹ヶ峰、三辻山、前工石山、と嶺北の山並が続く。手前には早明浦ダム湖が青く水を湛える。その下には田井地区の街並みと吉野川の流れが、そしてきびす山が手の届きそうに近くに聳えてその谷間にひっそりと屋所の集落が佇む。南西には岩躑躅山が間近に迫る。去りがたい場所だが帰りにここで昼食にすることにして頂上を目指す。


         岩場の多い尾根筋を行く                     滝と呼ばれる頂上直下の断崖

シャクナゲの点在する痩せ尾根を通過して小さなピークを越えて右側に少し下り、登り返して行くと右に木の間越しに崖のそそり立つ山頂が見えてくる。このような断崖を滝と呼ばれこの山の山名もここから来ているらしい。見上げるような最後の急坂を木の根などを掴みながら登りつめると平坦な索道跡に出る。今は跡形もないが昔ここに通夜堂が有ったらしい。


           鎌滝山頂上に立つ                        頂上直下のきつい登り 

ここを過ぎると蔵王権現の祠と嶺北ネイチャーハントの標識の立つ頂上に跳びだす。南に眺望が開け先ほどの窓ヶ岩からの眺望が標高を稼いだ分だけ大きく展開する。権現の祠の岩に懸けられた行場の鎖が足元から急斜面に沿って消えている。大勢の石鎚信仰の修験者がこの鎖を伝ってこの山頂に登っていた名残である。


        山頂から早明浦ダム湖の眺望                   山頂に祀られた藏王権現

充分眺望を楽しんで来た道を下山する。窓ヶ岩にもう一度立ち寄り弁当を食べながら雄大な眺望を堪能する。下りは975m のピーク手前の尾根分岐から支尾根を下り、大岩の手前から右に折れて植林の斜面をトラバースぎみに下って行くと、最初の分岐に出てあとは林道の登山口まで少しである。

《コースタイム》 林道大河内線入り口(車) 20分→上登山口 20分→分岐 5分→尾根 30分→窓ヶ岩
          25分→頂上 15分→窓ヶ岩 5分→尾根分岐10分→分岐 10分→上登山口 
          歩行時間 2時間  登山道 良い 難易度 12B45
          駐車場 登山口の路肩に3台程
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