四国山岳紀行 No246-020601 由良山(ゆらやま) 120m △3(由良山)
                             香川県高松市 地図 高松南部(南東)  山岳紀行トップヘ 


                      平野部に島のように佇む由良山

由良山は高松平野の南部に島のように佇む独立峰で、標高は低いが特微のある採石跡がよく目立つ山である。由良遠江守の要城跡が頂上にあって近郊を眼下に見下ろす高台となっている。登山口にある清水神社では毎年8月第一土曜日に、雨乞いと五穀豊穣を祈願して 「お火あげ」 神事が催され、松明を持って氏子達が山頂で神事を執り行う。この神事は高松市の有形民族文化財になっている。


         林道入口にある清水神社                    林道を登山口まで詰めて行く

清水神社前から左側に延びる作業道を進んで行くと、左手上に鎌倉時代に作られた土俵跡があり、今は石垣だけが残っていてその面影を偲ばれる。舗装された道はいったん大きく折り返して高度を稼いで水平道となる。右手に大きく削られた採掘跡が見えてくる。そこへ入る道に入って行くとその跡に水が溜まって出来た池に着く。高く切り立った白い断崖の壁の下に青い水を湛えた異様な光景に不気味さを感じる。


                      水が溜まって池になった採石場跡

奥で蝦蟇(がま)のグオゥー、グオゥーと大きな鳴き声が響く。水面に大きな黒い影が現れる。形からしてブラックバスのようだ。どうしてこんな所にもこの魚がいるのだろうか、誰かが放したのだろう。この魚は繁殖力が強くて在来種の生存を脅かしており、各地で問題になっているので容易に放流しないよう注意が肝心だ。水面には蜻蛉(トンボ)類も多く大はオニヤンマ、ギンヤンマ、小はイトトンボなど賑やかに飛び交っていて真っ赤なショウガトンボもいる。


                       池にはトンボ類が多く生息する

人為的に出来た池とはいえここは彼らの程良い生活場所となっているようだ。残念なのはこういう場所にも冷蔵庫やガスボンベなどの不法投棄が目立つことだ。折角の景観が台無しだ自然が汚れて泣いている。投棄物から溶け出したPCBなどの有害物質が地下水を汚染して生態系に異常をきたす。回りまわって自分たちに影響して来るので怖いことだ。そんなことを思いながら進んで行くと、車止めの鎖があってこれから先は一般車は進入禁止となっている。

閉鎖された道脇の作業小屋に操業標識が残る。昭和63年認可、期間3年、年間1600トン、岩石種類雲母安山岩、などと書いてある。しかし採石跡を見れば、1600トン×3年=5000トンなどという小規模ではなく、その10倍はあろうと思われる採取規模である。柱状節理の安山岩は由良石として知られ、建築材に使用された。皇居新宮殿の広場に使われるほどであったという。


         林道脇の第二の試掘跡の穴                   林道は途中に車止めがある

鎖を跨いで少し進むと採掘調査跡の第一の洞窟があって人が数人入れる程の穴がぽっかり口を開けている。少し先に第二の浅い洞窟があって奥に地蔵さんが奉られている。尚も進んで行くと第三の洞窟があり、入り口に「由良山防空壕跡」と書かれた標識が、この洞窟を抜けた所に登山口があるようなので、恐る恐る入って行くと奥が深いのか真っ暗になったのでライトを点けて前進する。


          防空壕跡の洞窟がある                      内部は案外広くなっている
 
足元は石がごろごろしているので注意しないと躓きやすい。中間辺りは案外広い空間となっており、戦時中の空襲時には地元の多くの人がここで避難していたようだ。前方が明るくなって来ると出口に着く。藪をかき分けると入り口方面から回りこんで来た作業道に出た。ここからほんの少し進むと右手に登山道が上っており、よく踏まれた急坂を10分程で開けた頂上に出る。


           林道脇の登山口                        洞窟を出ると登山口が近い

頂上は広場になっていて西側に龍王社と石鎚社の大きな祠が2基安置されている。中ほどの南側の笹の中に三等三角点、北側は採石場の断崖になっていて有刺鉄線が張られている。有刺鉄線から端へは立ち入らぬように注意したい。目が回り空中に放り出されて恒久天上の人となる。ここからの眺望は素晴らしく、眼下に採石跡の荒々しい断崖が俯瞰でき、グランドキャニオンのミニチュアを連想させる。


          よく見かけるノバラの花                     登山道はよく整備されている

高松平野の街並みの向こうに台形の屋島が横たわり瀬戸へと続いて右には五剣山も。手前には新しい高松自動車道の高架橋が延々と続いている。東へ続く尾根を少し散策してみる。北側は断崖が続き要所には鉄線が張られている。南側はカシやクヌギなどの広葉樹林帯で先へ進めば神社裏へ下る道があるようだが、両側は断崖となって切れ落ちるので引き返す。


           頂上の三等三角点                         頂上にある石仏

目の前でバサバサと大きな羽音がして大きな鳥が向こうの木に移ったのでよく見るとフクロウではないか。こちらも驚いたが相手も驚いたらしくキョトンとして大きな目でこちらをじっと眺めている。暫らく見合いが続きカメラに撮ろうとして手を動かすと逃げてしまった。また登山口近くで林道を横切る大きな黒い動物にばったり出会った。今度は狸だ!


          頂上から北側の眺望                      頂上は広場となっている

びっくりしたが一瞬目が合うと先程と同じく硬直状態が数秒続く。相手も我に帰って林の中に逃げ込んで少し離れてこちらをじっと見つめているのでそろりとカメラに収める。少しピンボケしたが今度は撮影成功だった。それにしても街中にある里山にしては希少動物が在住したりして岩山ありと自然豊かな山であった。


                        眼下に高松市外が望める              

♪明けゆく朝のひをうけて ひかり明るい由良山の・・♪由良の岩山 聳ゆるところ・・♪ と地元の川島小学校の校歌にも歌われているように、どんな山でもやはり地元の人々にとっては故郷の山は母なる山でもあろう。このような貴重な存在の里山をこれ以上傷つけずにいつまでも残してほしいものだ。

《コースタイム》 清水神社 10分→採石跡の池 5分→車止め 5分→防空壕跡 5分→登山口 10分→
          頂上 5分→登山口 20分→清水神社 歩行時間 約1時間 難易度 @2345
          駐車場 清水神社駐車場 登山道 整備されている急坂あり
ページの最初に戻る