四国山岳紀行 No241-020419 冠山(かんむりやま) 1732m
                    愛媛県新居浜市/高知県いの町 地図 日ノ浦(北東)  山岳紀行トップヘ


          平家平縦走路より冠山                      山頂標識三角点は無い

冠山は平家平の西に位置し西の寒風山辺りから眺めると三角錐の堂々とした山容で聳えている。この山は東の平家平への縦走路の位置にあって平家平への周遊コースに避けて通れない存在である。石鎚山系縦走路の東の端に位置する平家平は 800年前、壇ノ浦の戦いに敗れた平家の落人が安徳帝を擁護して阿波から吉野川の支谷を彷徨しながら、辿り着いたのがここ平家平と言われており、この山の山名もそこから来ている。その後、越裏門(えりもん)から越智町の横倉山に移り住んだという伝説がある。


          西に笹ヶ峰とチチ山                         北に赤石峨蔵山塊

山頂付近は森林限界を卓越した準平原で、遮るものの無い壮大な山岳展望は第一級であろう。この山の登山口は南の高知県側、北の愛媛県側、県境の東西の縦走路からとバリエーション豊富である。今回はナスビ平のカタクリの花の観賞を兼ねて、愛媛県側の別子山の中七番にある住友フォレスターハウスから、ナスビ平を経由して冠山への稜線コースを辿る事にした。朝5時30分家を出発 、R11から R319に入り、法皇トンネルを抜けて金砂湖に架かる赤い平野橋を渡り、右折して県道6号線を快適に別子山まで走る。南光院辺りから道幅が狭くなるが全線舗装されたので随分と走りよくなった。


         別子ダムより平家平冠山                      住友フォーレスターハウス

西赤石山の日浦登山口を過ぎて別子ダム湖を過ぎると程なく別子山最奥の集落のあった中七番に着く。今は民家のあった跡地に住友フォーレスターハウスの駐車場として立派に整備されている。ここは施設利用者の駐車場であるので、登山者など一般の車は路肩の広い場所に駐車することになる。橋を渡ってフォレスターハウスに向かうと管理人さんが出迎えてくれた。ここ毎日大勢の人がナスビ平へカタクリの花を見学に訪れているとの事。今日は私が一番のりらしい。


           白樺林の中を行く                           分岐を右に進む

例の記帳を済ませて6時45分出発、新緑の白樺の並木が美しい中を指導標に従って、分岐から右に沢沿いのコースーを進んで行く。途中道が崩壊して迂回する所もあるがよく踏まれているので問題ない。暫らく沢沿いを進んで道は植林の中を急登して行き、旧馬道を横切って水平道を詰めて行く。


          最初は渓流沿いに進む                      スミレ類が多く咲いている

岩場のコルを下って幾つかの桟橋を渡って行くと広くなった沢に出る。沢を横切って再び植林の中の急斜面を高度を稼いで行く。道が緩くなるとナスビ平に着く。林の中に敷地跡の石垣などが残っている。ここは一ノ谷を越えてゆく中持衆の宿屋があった所で、吹雪の夜に山女がなすびを売りに来たという妖怪譚の伝説から来ている。


          正面に稜線が見えてくる                      幾つか支沢を渡って行く

当時の人々の生活を想像しながら進んで行くと、ありました緩い斜面にカタクリの群生が一面に、この花は太陽光線が当たらないと開かず、朝早いので未だ半開状態だったがそれでも充分目を楽しませてくれた。近年カタクリ見物に訪れる人が多くなって、心無い人に踏み付けられたりしてその生育環境が脅かされており、保護のため苦肉の策として立ち入り禁止のロープが張られている。


        ロープの張られたナスビ平に着く                 林床にカタクリの群生が見られる

消滅は一瞬、蘇生は気の遠くなる年月を要する。管理人さんが特に心配していたのはそれにもまして煙草の吸殻のポイ捨てである。このような壮大な山で火事が起これば手の付けようがない事である。未だに吸殻が捨てられているらしい。このような自然の環境を守って行くためには一人一人のマナーが大切であるのは言うまでもない。皆がいつまでも気持ちよく山に入らせてもらうために。


                      カタクリは春の妖精と言われている

さてここから少し登った所に第二のカタクリ群生場所が現れる。先の場所より幾分時間が経過しているせいか、こちらの方が開花率が良いようだ。光を受けて反り返って咲く花弁は可愛らしく春の妖精と言われている。こうしている間にも数組のパーティが来て賑やかになってきた。充分目を楽しませてもらったので稜線の一の谷越えへと向かう。周囲の芽吹き始めたばかりの林が清々しい。


                    ナスビ平は自然に戻ったが敷地の石垣が残る

歩きよい水平道は右にカーブして一旦沢に下り、東側の尾根に取り付いてロープの張られた崩壊箇所を過ぎ、支尾根をトラバース気味に進んで行くと、「あかがねの川協議会」が設立した銅山川の源流碑が新しく設けられていて、岩の間から清水が湧き出している。そこを過ぎると道は急になりシャクナゲの間を進んで行くと一の谷越えに向かう稜線に出る。


            銅山川源流碑                            稜線道に出る

ここまでナスビ平から1時間、登山口から3時間の行程である。振り返ると東赤石から二ッ岳にかけての山容が木の間越しに見えている。稜線を右にとれば600mほどで一の谷越えに行けるが、今回は左に稜線道を進み冠山を経由して平家平へと向かう。シラベの林を抜けると風景は一変して眺望の開けた尾根歩きとなる。


          快適な稜線道を行く                          前方に冠山の頂上

西に一の谷越えから続くチチ山、笹ヶ峰のヒメザサの緑一色の稜線が素晴らしい。南は深く落ち込んだ谷を隔てて四国中央の山々が幾重にも連なる。東はこれからアタックする冠山の岩山が手招きしている。途中に一部急坂があるが何処までも広がる山岳展望の開放的な稜線歩きは退屈しない


          頂上から笹ヶ峰チチ山                         冠山頂上に立つ

目の上に迫る岩峰を登り詰めれば1736m の冠山の頂上である。西側の露岩の上に立てば 360度の展望が開ける。足元が切れ落ちているので転落しないよう充分注意しょう。標高が高いだけに高度感が満悦できる。ここで昼食を摂りながら素晴らしい山岳展望を満悦して冠山を後に平家平へと向かう。 平家平へ


           高知県側の眺望                           露岩の上は絶景

《コースタイム》 登山口フォレスターハウス 1時間55分→ナスビ平 1時間→一の谷越え稜線
          50分→冠山 55分→平家平 40分→鉄塔分岐 20分→No12鉄塔 20分→No13鉄塔
          30分→ 滝下の沢 40分→登山口フォレスターハウス 歩行時間 約7時間20分
          駐車場 県道路肩 登山道 整備されているが一部難所もあり 難易度 12B45
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