四国山岳紀行 No233-011024 三嶺(みうね) 1894m △2(三嶺)
                      徳島県三好市/高知県香美市  地図 京上(南東)  山岳紀行トップヘ 

             頂上近くのコメツツジの紅葉

三嶺1894mは徳島県三好市東祖谷山と高知県香美市物部にまたがり、剣山国定公園に属している。三嶺とは三つの畝の集まりの意味で、土地の人は「みうね」と言い、登山者は「さんれい」と呼ぶ人も多い。頂上付近一帯はミヤマクマザサの群落と、その中に点在するコメツツジは国の天然記念物になっており、最も自然の残された山として人気がある。


          林道終点登山口から登って行く                  見事に黄葉したブナの大木

この山の登山口は主に徳島県側と高知県側からのルートがあるが、今回は徳島県側の名頃からの林道終点の登山口から登ることにした。林道終点のあずまやを抜けると、名頃登山口の標識があり、急な木の階段の道を登って行く。この時期大きなトチやブナ、カエデの紅葉が美しい。急坂を登りきって尾根筋に出ると、モミの木の林立するダケモミの丘に着く。間もなく林道下から登って来たコースと合流する。


              ダケモミの森を行く                       途中にある分岐の道標

モミの林を抜けると自然林に変わり、モミジの紅葉がひときわ目につくようになる。木の間越しに山頂が見えてくるようになると再び道は険しくなり、モミやダケカンバの中を行く。途中にマユミの古木があって、まだ少し赤い実をつけている。森林帯を抜けて東に剣山と次郎笈が見えてくると、水場の標識の立つ所に着く。ここから50m ほど急坂を下ると清水の出ている水場がある。夏場なら周囲はクガイソウやミヤマシシウドなどのお花畑が見られるだろう。


            樹林帯の紅葉が美しい                   急斜面を登って行く
 
急坂で足元はざらついて、歩きにくくなるが高度がどんどん上がり視界が開けて、素晴らしい眺望が展開してくる。ミヤマクマザサの急斜面が谷側に落ち込んで、背後に剣山方面に続く山並みと、その向こうに石立山や白髪山が頭を覗かせている。頂上直下の大岩を眺めながらミヤマクマザサの急勾配を登りつめると、稜線に出て眼前に静かに水をたたえた三嶺の池が現れる。少し離れて避難小屋がたたずむ。

           コメツツジの紅葉を楽しむ                 三嶺の池と避難小屋が佇む

ここからはコメツツジの中をワンビッチで頂上に着くが、南側の岩場は深く谷に落ち込んでいるので、近ずかないように気をつけよう。頂上直下には遭難者の若い命を悼むメモリーが目につく。標高が高いだけにひとたび天候が荒れると、冬場は相当厳しいに違いない。昭和37〜38年の豪雪はここ三嶺でも数名の凍死者を出したのは記憶に久しい。ふだんは美しく優しい三嶺であるが、何かのように一面魔性も秘めている。その後登山者の安全のため避難小屋が建てられた。


         西に続く西熊山〜天狗塚の山並                  南側は岩壁で切れ落ちている

頂上に立つと遮るものがなく 360度の大パノラマが展開する。西に続く西熊山の向こうに三角錐の天狗塚が印象的である。続く牛の背の奥に国見山と中津山、遥か遠くに石鎚山系が浮かぶ。目を転ずれば祖谷谷を隔てて矢筈山を盟主とする祖谷山系が大きく聳える。東には塔の丸から丸笹山が、そして四国の東の盟主、剣山と次郎笈が一段と高さを誇示している。しばらく頂上からの広大な眺望を楽しもう。どこまでも続くミヤマクマザサとコメツツジの紅葉に、去りがたし頂上を後に往路を下山して行った。


           キャスターと登頂記念撮影                  後方に剣山と次郎笈

三嶺は蛇神の住む山として、土地の人に非常に恐れられて、とくに女性はごく最近まで登るものが無かったと言われている。またこの池にまつわる伝説も多く、ある日、祖谷の菅生谷から又市という元気な若者が、三嶺の山へ白口カズラを採りに行った。尾根筋に出るとシャクナゲが咲いている。あまり美しいので知らず知らず上へ上へと登って、とうとう三嶺の池の畔まで来てしまった。池はきれいな水を湛えていた。又市は喉が渇いていたのですくって飲んだ。

           池を汚すと祟りがあるという                     頂上にある二等三角点

そのうまいこと、ふと見ると履いていた草鞋が切れている。仕方がないので草鞋を池に投げ込んだ。と一転にわかに掻き曇って雷声がとどろきだした。又市は急に恐ろしくなり、山を駆け下って家に帰って布団をかむって寝つくが、その夜から熱が出て三月も夢うつつで、床についたきりであった。それからは村は旱魃におそわれ、村人は困り果てて祈祷を続けたりしているうち、又市の三嶺の池の草鞋の祟りであるとなって、村人は再び三嶺に登り、その草鞋を取り除いて祈祷をしたので、また村には平和が戻った。


             水を湛える三嶺の池                    剣山と次郎笈を望む

その後も池を汚すと村に凶事が起こるので、村人は誰も三嶺に登らなくなり、最近まで祖谷からの登山道はついていなかった。美しい自然を汚すと祟りがあるという伝説は、現代でも通用する戒めであろう。そんな事を思いながら美しい三嶺を後にした。

この登山はNHK「おはよう四国」 「季節の旅 山の旅」でキャスター同行して2001年10月27日朝7時30分から放送された。

《コースタイム》 登山口→50分 ダケモミの丘→40分 水場の看板→30分 三嶺→25分 水場の看板
          →30分 ダケモミの丘→35分 登山口 歩行時間 3時間30分
          駐車場 林道終点 5〜6台  登山道 良い 難易度 12B45
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