四国山岳紀行 No223-010815 剣山(つるぎさん) 1955m △1(剣山)
                      徳島県三好市/那賀町/美馬市 地図 剣山(南東)  山岳紀行トップヘ


         一の森山頂からの剣山                       一の森山頂から丸笹山

四国第二の高峰剣山は西の愛媛県の石鎚山に対して、東の雄として古来より山岳信仰の霊場として、昭和初期まで女人禁制が守られていた山だった。また山頂付近に埋蔵されていると伝えられるソロモン秘宝伝説や、平家の復興を祈願して安徳天皇が剣をこの山に埋めたという伝説からその名が付けられたと言われている。リフトが設けられて観光地化されたこの山は見る影も無くなっているが、メインルートを離れて歩くとまだまだ豊富な自然が息づいている。


          登山口の剣神社石段                      清々しい原生林の登山道

今回は見ノ越から剣神社の長い階段を上って行くことから始る。剣山へは1970年に登山リフトが八合目まで開設され、1時間足らずで頂上に立てるようになった。今回は見ノ越から登って剣山の頂上に至り、三ノ森、二ノ森の稜線を経て一ノ森へ向かうコース、そして帰りは一ノ森直下のコルの分岐点を右にとり、行場を経て西島に下るコースをとる事にした。登山口は国道の側の剣神社の長い階段を上って行くことから始る。


          リフトの下を潜って行く                       目立つノリウツギの花      

神社の境内を右に抜けるとブナやモミなどの茂る原生林の中のよく整備された登山道を行く。やがて登山道はリフトの下を潜り分岐点にでる。どちらを行っても上で合流するが、今回は左のコースをとる。コースの途中には見事な天然桧の大木が天を突く。そしてこの時節ノリウツギやリョウブなどの白い花が目に留まる。大自然の静かな中でのリフトのアナウンスや音楽が耳障りである。


          穂状花のリョウブの花                        西島神社からの登り

歩き始めて1時間、大岩の下に祀られた西島神社に着く。岩陰には古い祠がひっそりと佇む。西島神社を右に見てここから登山道は階段状のつま先上がりの急坂となる。坂を登りきった所が先ほどの分岐からの合流点である。眼前には今まで見えなかった剣山と次郎笈の頂上が目に飛び込んでくる。そしてその右肩の谷あいの向こうには、三嶺の山塊が美しい姿で聳えている。この辺りから足元に高山植物が目立って来るようになる。


          西島駅の西側に着く                          タカネオトギリソウ

キャンプ場の脇を過ぎると間もなくリフトの終点の西島駅の横に出る。ここからの眺望は素晴らしい。木の鳥居を潜って暫らく行くと分岐点に出る。左へ行けば刀掛けを経て頂上へ、右は大剣神社を経て頂上へのコース。今回はお花畑の多い右のコースを行く。道脇にはシコクフウロ、キツリフネソウ、レイジンソウ、アキノタムラソウ、メタカラコウ、ナンブクガイソウ、ミヤマシシウド、サラシマショウマ、テンニンソウ、イサコアカソなどが群落を作って目を楽しませてくれる。



          シコクフウロウなどの群落                    奇岩が御神体の大剣神社

高度が上がって視界が開けて来ると大剣神社に着く。大岩を御神体とした神社で石灰岩の奇岩が背後にそそり立つ。最後の坂を登り詰めて頂上ヒュッテの横を抜けると、桟道の敷かれた広々とした笹原の頂上に出る。所々にシコクフウロ、タカネオトギリソウなどが群落を作ってお花畑を形成している。桟道を詰めて行くとケルンに囲まれた一等三角点のある1955m の最高点に着く。さすが観光の山だけに子供づれのファミリーが多い。


         一等三角点の剣山山頂                        山頂へは桟道を行く

南側には次郎笈がピラミダルな山容で聳えている。東側にはこれから向かう一ノ森が稜線の向こうに佇む。昭和19年に開設されてから平成13年の閉鎖に至るまで、西日本一高所にある測候施設として永年活躍して来た剣山測候所の側を通って、ヒュッテ横にある宝蔵石の上から桟道を東に進んで一ノ森へのコースに取り付く。一ノ森へ1300m の案内板がある。展望台から東へ稜線を三ノ森、二ノ森を越えて一ノ森へと向かう。


          一ノ森へ続く縦走路                         縦走路から見た山頂

道端にはイブキトラノオ、コモノギク、シコクフウロ、アキノキリンソウなどが目を癒してくれる。西側には次郎笈が風情を醸し出す。稜線の登山道は三ノ森を巻いて二ノ森を目指す。コルには美しいグリーンの笹原が広がる。剣山頂上から40分ほどで二ノ森の頂上を通過する。二ノ森を過ぎると眼前に目指す一ノ森が姿を現す。コルを下りきった所が行場への分岐点となっている。一ノ森山頂へは右にあとひと登りである。


         眺望の広がる一ノ森山頂                    一ノ森岩場に咲くコモノギク

頂上直下の岩場に立つと眼前に剣山から次郎笈が一望できる。この辺りの岩場にはコモノギクが多い。ついに到着一ノ森頂上1879m である。頂上からは遮るものが無く360 度の眺望が展開する。暫らく山頂からの雄大な眺望を楽しもう。山頂東側直下には青い屋根の一ノ森ヒュッテが佇む。北から西にかけては剣山から次郎笈の大きな山塊、北には赤帽子山から丸笹山の山並み、そして今越えて来た剣山が大きく聳える。


         山頂直下の一ノ森ヒュッテ                    山頂直下の岩場から次郎笈

そして弟分の次郎笈が大きく肩を張る。南には木頭川を挟んで権田山から平家平、折宇谷山などが連なる。手前に槍戸山が大きく迫る。そして五葉松の茂る一ノ森へと続く。日本百名山の著者、深田久弥さんは、ここから見た剣山は最も景観が優れていると言ったのもうなずける。そして次郎笈とのコルに見える三嶺の姿も良い。一ノ森は徳島の山を代表する、剣山、次郎笈、三嶺の三つの山岳を一目で眺められる随一の展望台でもある。

         コルの間に三嶺の秀峰                        二ノ森から剣山の雄峰

北には丸笹山と赤帽子山の連山が眼下に収まる。一ノ森山頂からの雄大な眺望を満悦して下山に移る。コルからは行場へのコースをとる。途中の原生林の中にはモミの大木が見受けられる。道端にはモミジガサ、カニコウモリ、ミヤマシシウドなどの白い花が咲き、目を癒してくれる。やがて追分への分岐点に辿り着く。追分へ1.5キロ、西島へ1キロの地点である。


           行場道追分分岐地点                        行場の岩場の洞窟

岩のそそり立つ行場の手前からは、お花畑が所々にあって目を楽しませてくれる。レイジンソウ、ヤマアジサイ、メタカラコウ、ギンバイソウ、ソバナ、数々の高山植物のお花畑と、そしてキレンゲショウマは生きた化石といわれ、明治時代に石鎚山で発見され、日本人が始めて学名を発表した植物で、昭和天皇もこよなくこの花を愛したという。


          キレンゲショウマの群落                      目立つキレンゲショウマ

四国の深山にひっそりと咲く花は、1997年のちにTVドラマ化され、宮尾登美子の小説「天涯の花」で一躍有名になった。小説の舞台となった剣山では、岩の多い行場付近の斜面に群生して咲いていた。もっとゆっくり観察したかったのだが、雷声がとどろき雨が近ずいて来たので早々に西島駅へと下って行った。

《コースタイム》 見ノ越 15分→分岐 25分→西島神社 20分→西島 5分→刀掛分岐 20分→大剣神社
          20分→剣山頂上 5分→一ノ森分岐 15分→三ノ森 15分→二ノ森 10分→行場道分岐
          10分→一ノ森頂上 5分→行場道分岐 25分→追分分岐 10分→行場 15分→刀掛
          15分→西島駅(リフト) 15分→見ノ越 歩行時間 約4時間 難易度 12B45
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