四国山岳紀行 No210-010517 西赤石 (にしあかいしやま) 1626m 3(銅山)
                    愛媛県新居浜市 地図 別子銅山(南東)  西赤石山













               アケボノツツジに染まる西赤石山

新居浜市街方面から見ると南に大きな山脈が屹立している。その中央部奥に三角形で聳えているのが西赤石山である。頂上付近のアケボノツツジの群落は有数の規模を誇り、山肌をピンクに染める景観は見事である。また峰続きの銅山峰にかけては高山性のツガザクラの群生があって話題になっている。そしてこの山に繋がる銅山峰は日立、足尾と共に栄えてきた三大銅山の一つとして、閉山に至るまで歴史を共にして来た。その別子銅山の遺跡を見ながらの登山となる。


       別子日浦の登山口                ゴマノキの花が映える      

今回は別子ダム側の日浦登山口からのコースをとる。この時期、頂上付近のアケボノツツジと運が良ければツガザクラも、と期待をして登って行く。登山口には大きな案内板があって鉱山の遺跡が記されている。その側の広い石段を上って行くとウツギやゴマノキの白い花が迎えてくれる。繁栄の昔を偲ぶ広い道はよく整備されており、小足谷川に架かる最初の板橋を渡る谷間にはヤマフジの花が美しい。


      接待館跡のレンガの塀               住友病院跡などの石垣       

すぐ先には煉瓦の塀だけが残る「接待館跡」があり、広い敷地内は植林されていて今は建物は無いが、塀から見て豪華な建物があったことを連想させる。またその奥には鉱夫を労うための酒造所があったそうだ。そこを過ぎると今度は劇場跡などがあり、上方芸者を招いて公演が行われ賑わっていたとか。また学校跡、病院跡などが続き、当時の繁栄振りが偲ばれる。道は間もなく橋を渡って右岸を行くようになる。


        自然石のアーチ橋               橋を渡って右岸へ

対岸には自然石で築いた護岸堤や岩をくり貫いたアーチ橋がそんな歴史を物語っている。やがてパイプから水の湧き出る広場に着く。ボーリングの際、地下水脈に当りダイヤのビットが取残されたので、 ここを「ダイヤモンド水」と言うようになって、以来絶え間なく清水が湧き出ているという。少し飲んでみたが大変美味しい水であった。広場の隅にはあずまやの休憩所とトイレがある。


      湧き出るダイヤモンド水             渓流沿いに咲くキシツツジ

ここを過ぎると左に小滝を見て深い谷に架かる橋を渡り、左岸に出て坂を上がり再び小さな吊橋を渡ると、谷は川原状となって対岸には溶鉱炉跡の赤茶けた崩壊地が見えて来る。少し進むと間もなく道脇に道標が現れる。 真直ぐ進めば「目出度
(めった)町跡」を経てとなっているが、帰りのコースに使うことにして今回は右に折れて谷に架かる鉄板の橋を渡り、梯子を上って左岸に取り付き寛政谷コースを行く。


                広くなった沢を渡り左岸へ

急坂を登り詰めると分岐があって指導標に従い銅山峰へのコースをとる。少し進んで再び谷の砂防堤の上を歩いて対岸に取り付く。下を見れば目が眩みそうだ。砂防堤の縁にはロープが張られているので注意して渡ろう。急坂を登って行き、道は本谷側に回り込んで石畳の道をトラバース気味に登って行くと、右に坑道の穴が見えて来る。


       サイコクミツバツツジ              砂防堤の上を進んで行く 

対岸にある遺跡の説明板などを見ながら進んで行くと、目出度町跡経由で登って来た道と合流する。ここから再び急坂を登って行くと、右側奥に最初に作られた歓喜坑跡に着く。辺りは整備されて水場もあり、休憩には良い場所だ。登山道に戻って急坂を進むと牛車道との分岐に着く。


       最初に発見された歓喜坑           アカモノの花も見られる

左へ行けば牛車道経由で銅山越えに行けるが、道は広く緩やかであるがそれだけ時間が掛かる。右にコースを取れば急坂で道は悪いが時間が短い。さあどちらを選ぶかはあなた次第である。気短い私は短い方を行くことにした。やはり最後の急坂は身に堪えるがどんどん高度を稼いで行く。アセビとミツバツツジと南側に開ける眺望が素晴らしい。


               道脇には仄かな香りのアセビが多

息を弾ませながら葛篭折れの急坂を登り詰めると、牛車道から登って来た道と合流する。ここから道は緩やかになってワンピッチで銅山越えに着く。ここは東西に延びる縦走路と峠越えの交叉する場所で、当時に別子山から新居浜へ鉱石や生活物資を運んでいた中持衆の安全を願って、石垣の中にお地蔵さんが祀られている。 西山へ行く


       銅山越えの石地蔵                アカイシミツバツツジ

そんな昔を偲びながら地蔵さんの石垣の横を通って、西赤石山への稜線道に入って行く。林を抜けるとミツバツツジの群生に出会う。ダイセンミツバツツジとアカイシミツバツツジの濃い紅色の花が目に眩しい。岩場にさしかかると、風鈴を吊るしたようなツガザクラが可憐な白い花をいっばい着けている。ツガザクラは本州では
2.500m 前後の高山にしか生育しない植物が、どうして四国のこの山だけに生えているのは誠に不思議である。


                 岩場に咲くツガザクラ

やがて東山の登りにかかる辺りから前方にピンクの化粧を施した西赤石山の頂が見えて来る。アケボノツツジの群落のようだ。道脇にはミツバツツジが至る所に咲き乱れ、小高い東山にもツガザクラが群生していて目を楽しませてくれる。ヒュッテからの分岐を過ぎて崩壊地のコルからは、再び少しきつい登りが尾根まで続くが距離は短い。



                新緑に映えるミツバツツジ

落葉松林の尾根にでると道は緩やかになって、少し下って行き最初の岩場を越えて行くと、前方にアケボノツツジが始めて姿を現す。岩場から北斜面を覗き込むと、あっと驚くほど眼前にビンクに染まったアケボノツツジの群落が広がっている。今年は表年であるのか、どの株も樹幹一杯に花を着けて華やかである。

                山肌染めるアケボノツツジ

やがてツツジ、ツツジの咲き乱れる中を進んで行くと、前方に西赤石山の山頂が大きく迫ってくる。岩場を二つほど越えて行くと山頂だ。
岩場からの眺望は高度感があり、今登って来た稜線が眼下に、笹ヶ峰と沓掛山のコルに石鎚山が頭を覗かしていて絶景である。山頂からは南に平家平を始めとする脊梁の山々が連なり、眼下には別子ダムが青く光る。



      二等三角点のある山頂               山頂より西側の眺望

東に目を移せば縦走路の果てに東赤石山塊の岩峰が聳えている。
1626m の山頂には二等三角点と山頂標識があり、ここから北へ急坂を下って行くと、頂上北面のアケボノツツジの群落のビュウポイントに着く。


               山頂北面のアケボノツツジの群生

岩山に立てば眼前にアケボノツツジの大群落が広がり、素晴らしいの一言だ。さすが全国規模を誇る群落に納得して往路を下って行く。振り返ると山全体がピンク
に染まって輝いている西赤石山が印象的だった。                      西赤石山に咲く花へ

《コースタイム》日浦登山口 20分→接待館跡 20分→分岐 30分→歓喜坑 20分→銅山越え
            30分→東山 60分→西赤石山 15分→アケボノツツジビュウポイント 25分→
        西赤石山
1 時間15分→銅山越え 1 時間15分→日浦登山口 難易度 12B45
        駐車場
登山口に有り 登山道 整備されている 歩行時間 6 時間10分    

        この山岳紀行は平成13529日NHKの「おはよう四国」で放映された
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