四国山岳紀行 No196-000509 八巻山(はちまきやま) 1698m △無
                    愛媛県新居浜市/四国中央市 地図 別子銅山(南東)  山岳紀行トップヘ



                       トラバース道から見た八巻山

瀬戸内海の海岸近くに聳える石鎚山系の支脈の赤石山系、その中心をなす主峰の東赤石山から西に続く岩稜は橄欖岩からなり、鉄分を含んで赤茶けた色をしている。四国の山の中でも特異な地質を形成している。その中でも八巻山一帯は峨々たる岩稜が続き、この山特有の珍しい高山植物も見られる。八巻山へは東赤石山へのコースを取り、赤石越えからアタックすることにした。今回は南側の別子山筏津登山口から登って行く。コースは旧道から東赤石山頂に至り、八巻山を経由して新道を下って来るコースである。


                        筏津登山口から登り始める

県道脇の標識に従って登山道へと入って行く。登山道は植林の中をトラバース気味に進むが、20分程で昔集落のあった豊後(ぶんご)という瀬場登山口からの合流点に着く。瀬場登山口からの分岐を見送って、今は自然に帰った集落跡の林を抜けると、視界が開けて前方に目指す東赤石山が奥に見えてくる。この辺りは生活道だったのだろうか、良く慣らされて歩きよい。道端にはこの時節の草花が見られる。


                           コンロンソウとタチツボスミレ

コンロンソウ、キジムシロ、ツボスミレなどがこぼれ咲き、眼を癒してくれる。間もなく沢の水場があり、清水が多く流れていてコップまで備えられている。これからの急登に備えてちよっと休憩するには良い場所だ。最初の水場を過ぎて道は急勾配となり、間もなく現れる八間滝の右岸を高巻するようになる。急坂を登り詰めると道は水平道となり、南には東光森山が端正な形で聳えているのが見える。


          水場からは急登が続く                       長い瀑を落とす八間滝

程なく滝の音が大きくなって来ると、対岸には絶壁から尾を引く八間滝が林の間に見え隠れする。山側の林床にはこの時節、ヤマブキやヤマシャクヤクの花が目に付く。沢の音が大きくなって来ると道は瀬場谷に下って、丸木橋を渡ると道はすぐ上で左右に分かれる。左は瀬場谷に沿って直接赤石山荘に通じる道で、帰りはこの道を下って来ることにして、右の旧道を登って行く。


                        ヤマシャクヤクとヤマブキ

暫らく植林の中のじぐざぐ道を行くが、高度を稼いで尾根肩に出ると南に視界が開けて、木立の間から大座礼山と東光森山が競うように肩を並べているのが見える。植林帯を抜けると道は水平道となり、小さな滝の上の沢に出る。梯子を上って広い沢を渡り左岸に取り付き、沢に沿って暫らく単調な植林の中を進んでいく。


         南に東光森山と大座礼山                       梯子を登って沢を渡る

やがて道は沢筋から離れて植林の中の急登となるが、道筋にはこの時期に咲くスミレやバライチゴの花が目に優しい。崩壊地を過ぎて進んで行くと前方に東赤石山の岩峰がちらほら見えて沢の上部に着く。ここからは稜線直下のトラバース道まで、一時間ほどの岩稜の急な登りとなるので冷たい水場で一休みして行こう。


                        ミネザクラとアケボノツツジ

岩場の登りは疲れるがミツバツツジやアケボノツツジが新緑に彩を添え、急な単調な登りも退屈しない。アケボノツツジも無くなってうんざりする頃、岩稜が頭上に見え出すとトラバース道に出る。標識に従い左に少し進むと赤石越えへの分岐に着く。ここからは南から西にかけての視界が大きく開けて、大座礼山から笹ヶ峰までの脊梁山脈が眼前に広がる。その奥に石鎚山が頭を覗かせている。


           道筋に咲くコスミレ                         自然林の中の登り

ここから右に折れて赤石越えへの急峻な登りに取り付くが、距離が短いので奇岩などを眺めながらゆっくり登ろう。赤石越えは北からの登山道と西赤石山からの縦走路との十字路で、東赤石頂上へは右に進んで行く。シラベとシャクナゲの林を潜って岩稜をよじ登れば東赤石山の頂上である。眺望は大きく開けて北側の眼下には、土居町や新居浜市街を隔てて瀬戸内海燧灘が広がる。


         東赤石山頂から南東方面                       東赤石山頂に立つ

西側は峰続きの八巻山から西赤石山にかけての赤石山脈が続き、その向こうに石鎚山系から四国中央部の山並が東に波打つ。暫らく山頂からの広大な眺望を楽しもう。帰りは西側の八巻山を経由して赤石山荘に下り、新道を下るコースをとる。幾重にも重なる岩稜を越えて、八巻山まではちょっとしたスリルを味わいながらの30分ほどの行程である。


                        東赤石山頂から西の眺望

八巻山からの眺望も素晴らしく、東に今登って来た東赤石山頂はこの山系の盟主という名に相応しく聳えている。、その向こうにエビラ山を中心とする峨蔵山塊、その左奥に赤星山が秀峰を覗かせている。西側は尾根続きの石室頭から前赤石にかけての峨々たる岩稜が続く。八巻山から西へは岩の間を慎重にコルまで下り、眼下に見える赤石山荘までは30分ほどの行程である。


          八巻山から西の眺望                          八巻山頂に立つ

振り返ると今越えて来た八巻山の岩稜が覆い被さるような迫力で聳え立つ。山荘から少し東に進むとトラバース道との分岐に着く。道標に従い右側へ新道を下って行く。急なガラガラ道を20分ほど下って沢を渡り、右岸に取り付き斜面の丸木橋を渡って谷沿いに進んでいく。30分ほどで再び沢に下ってそのまま右岸を行く。アケボノツツジが競い咲く中、丸木橋を渡って再び沢に下り、左岸に取り付くようになる。


        赤石山荘から新道を下って行く                 赤石山荘からの八巻山

ここから最初の分岐まで水場は無いので休憩して行こう。この辺りミツバツツジが咲き競い、絶好の休憩ポイントである。沢の左岸からは自然林と植林帯の交叉する、長いじぐざぐ道を下って行くが、新緑の中に映えるミツバツツジやシャクナゲの花が目を楽しませてくれるので退屈しない。分岐点まで下り、橋を渡って八間滝を過ぎると登山口は近い。花の多い表情豊かな東赤石山であった。

《コースタイム》 筏津登山口 20分→豊後 20分→八間滝 20分→分岐 30分→滝上沢 40分→
          沢上水場 60分→トラバース道 20分→赤石越え 15分→東赤石山 30分→八巻山
          25分→赤石山荘 30分→沢1 20分→沢2 30分→沢3 45分→分岐 60分→
          筏津登山口  歩行時間 約8時間  難易度 123C5
          駐車場 筏津山荘上に10台程  登山道 整備されているが急坂多し
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