四国山岳紀行 No189-000429 黒笠山(くろがさやま) 1703m △無
                         徳島県つるぎ町/三好市 地図 剣山(北西)  山岳紀行トップヘ


         登山口から見た黒笠山                       石堂神社手前から黒笠山

黒笠山1703m は祖谷山系の東端に聳えて、阿波のマッターホルンと言われている。この山へは貞光から剣山方面に向かう県道の途中から明渡橋を渡って東祖谷山の菅生方面に向かう。7キロほど走り第二白井橋を渡ると登山口のたて看板があり、そこから白井(しろい)谷に沿って終点まで車で入った所が登山口となっている。


                      登山口から奥に黒笠山が見えている

白井谷の入り口に着くと何処から現れたのか、二匹の犬が車の後について来た。登山口に着くと歓迎してくれているのか、人懐っこくさかんにじゃれてくる。一頭は黒毛(クロ)でもう一頭は白毛(シロ)のどちらとも中型犬である。実は最後までこの犬達に山頂まで道案内をしてもらうことになる。登山口は3台ほどの駐車スペースがあり、ここから谷の奥にそれと判る黒笠山の頂が見えている。


                        右に小滝を見て橋を渡る

身支度を整えて歩き始めると犬達が先に石段を駆け上って行く。一軒の民家の前を通って植林の中に続く道を進んで行くと、前方に視界が開け、真直ぐ谷川へ下って行く道と、山側へ上って行く道に分かれる。どちらも民家への生活道であるが、黒笠山へは川のほうに下って小さな鉄橋を渡って行く。橋の山側には小さな滝が渕に落ちている。


                   最奥の民家の側を通って植林帯の中を登って行く

すぐ上の最終の民家の畑の横を過ぎると、鬱蒼とした植林帯の中のきつい登りが暫らく続く。若者が都会に去って後継人が絶えたのだろう。寂しく植林の中に残る廃屋が目立って時世の流れを感じる。登山口から 0.6キロ地点に壊れかかった道標があった。黒笠山へ3キロとある。ここでひと休憩をとるが犬達がまだしっこくついて来るので、追い返すがなかなか帰ろうとはしないので様子を見ることにした。


          陰地に咲くキケマンソウ                 植林帯の中のきつい登り

見ているとクロの方が主導権を持っているみたいだ。クロの方が先に走って行ってこちらが近ずくまで待っている。シロがその後を付いていくようだ。そんな事を繰り返しながら犬達に導かれながらの登山となった。急坂では犬達も息があがるようで舌を出してハァハァ息をしている。喉が渇くのか道端の草を時々啄ばんでいる。黒笠神社の木の鳥居を潜ると登山道は左に折れる。真直ぐ進むと神社に向かう。


                      神社の鳥居を潜って左の登山道へ

間もなく岩の間から清水が出ており、ここから取水していたのだろう、壊れた木の樋が下の方に続いていた。そこを過ぎると間もなく植林帯を抜ける。登山口から 1.6キロ、黒笠山へ2キロの標識があり、いよいよ谷沿いに石混じりの道の本格的な登山道となる。道脇にはスミレ類が多く群落を作り目を楽しませてくれる。


                       ミヤマスミレとエイザンスミレ

道はダケカンバの林の間を急登して行き、岩場から清水の落ちる最後の水場の上を巻くと黒笠神社の馬場に飛び出す。立派な造りの社と脇に小さな祠が二つ並んでいる。神社からは更にダケカンバの中のきつい登りが稜線のコルまで続く。津志岳から派生してきている鋭峰のピークが右に近ずいて来ると稜線のコルに出る。息を弾ませながら登って行くとコルでは犬達が先に待っていた。


                         ダケカンバと黒笠神社

私がコルに着いたのを見て、黒笠山の方へ道案内をしてくれているようだ。ここまで登って来た犬達もかなり疲れているだろう。頭を撫でてやるとクロは元気そうに走って行った。シロは疲れたのか元気がない。稜線からは南東に視界が開けて、剣山と次郎笈が一段と高く聳えている。稜線付近はブナ、ダケカンバ、モミなどの原生林が多い。


                      どこまでもついて来るシロとクロ

コルから20分ほどで矢筈山からの分岐点に着く、黒笠山へ 200m の地点である。ここから矢筈山へのコースが続いているが、ブッシュと岩場が続く難路で熟練者向きである。ここからは眼前に黒笠山の頂が覆い被さるように迫って来る。間もなく最後の登りの岩峰直下に着く。さすが犬達はこの岩峰は登れないようで残念そうに見上げている。


                       ここから先は犬も登れない

鎖や木の根を伝って登るようになるが距離は短い。もうすぐ5月だと言うのに山頂付近は岩場に氷柱や窪地に残雪が見られる。やっと登山口から3時間半かかって頂上に立つ。頂上からの展望は 360度、西に矢筈山からサガリ禿山にかけてのダイナミックな山容が眼前に迫り、遠く梶ヶ森までが視野に入る。


                       岩壁を登りつめると頂上に着く

南側は天狗塚から三嶺にかけての山並み、そして塔ノ丸の向こうに剣山と次郎笈が一段と高く聳えている。更に東に続く高城、雲早の山並が遠くに続く。北側は吉野川の向こうに讃岐山脈が長く横たわる。暫らく頂上からの雄大な眺望を楽しもう。


                          剣山方面の眺望

この山は阿波のマッターホルンと言われるように、きつい登りの山ではあるが、屹立した山頂からの展望は申し分なく期待どうりであった。犬達はどうなったかであるが、クロは山頂直下で会ったグループに付いて残っているようで、シロだけが登山口近くの民家の所まで一緒に下ってくれた。道案内の忠犬に感謝しながら黒笠山を後にした。

《コースタイム》 脇町インター 1 時間10分(車)→明渡橋 20分(車)→白井登山口 35分→最初の水場
          1 時間55分→黒笠神社 15分→稜線コル 45分→山頂 30分→黒笠神社 1 時間→
          白井登山口 15分(車)→明渡橋 45分(車)→脇町インター 歩行時間 約 5 時間15分
          駐車場 登山口に有 登山道 よく踏まれている 難易度 123C5
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