九州山岳紀行 No149-980505 両子山(ふたござん) 721m △1(両子山)
                              大分県国東市 地図 両子山(北東)   山岳紀行トップヘ


                     山頂からは国東半島の山々が眼下に

両子山 721m は大分県の国東半島の最高峰で、そのど真ん中に位置し、安岐町と国東町との境付近にある。天気の良い日には大分市内からも山頂が見えることがあるので、山頂からの展望の良さは抜群である。「瀬戸内海国立公園」の一角で山頂には展望台が設けられて遠くは由布、鶴見岳、国東半島の山々、周防灘、眼下に姫島、海をへだてて中国、四国の島々と一大パノラマが広がる。また、山頂は常緑広葉樹と針葉樹が混在し、春の新緑や秋の紅葉など、四季折々に人々の目を楽しませてくれる。

この山へのアクセスは周辺の市町村から道路が延びているが、別府方面からだと大分空港道路杵築ICから県道49号を10.2km 北上、県道31号に入って13km、県道29号に入って3.7km、両子山のあたりになると道幅も狭くなってくる。左折して1kmで両子寺、そこから山頂まで徒歩約 1 時間で山頂に達する。両子山は六郷満山の総持院の両子寺の境内にあり、山に登るには、受付に申し出なければならない。登山者は一人100円納めると入山できる。(一般参拝者は200円)

私達は別府より国道10号線から分かれて大分空港道路に入り218号線を北上した。国東町から県道を西進して両子山に向かう。途中に行入ダムがあり、背後の富士山の模型のような山が印象的だった。山道を幾度も曲がりながら両子山の中腹にある両子寺に着いた。両子寺は養老2年(718年)仁聞菩薩の開創といわれ、六郷満山の中心的存在として栄えた。参道の石段両脇には2体の石造り仁王像が出迎え、苔むした石段の向こうに千年の時の流れが漂よう。総合門は六郷満山で一番古い建造物となっている。交通安全、安産祈願、厄除け等の祈願の場として参詣者が絶えない。境内は紅葉の名所としても有名だ。


                  登山口の両子寺境内 奥に両子山が見えている

頂上へは二つのルートがある。一つは昔ながらの七不思議の針の耳や鬼の背割りといわれる奇岩を巡って頂上を目指すコースで、山中をかなりの精神力と体力で駆けめぐる修行コース。もう一つは頂上に建てられたアンテナ工事のためにコンクリートで舗装されたコース。これも結構な急斜面のカーブの連続で、28曲がりのつま先が痛くなるような急坂は、かなりの忍耐と体力を要する。
私達は舗装道を登って帰りは修行コースを下ることにした。境内には多くのモミジが植えられており、紅葉の季節にはさぞかし見事だろう。この日もたくさんの参拝者が訪れていたが、リュックを背負うての登山姿は私達だけのようだ。

                   両子寺から見た両子山 左のピークが最高点

見上げると本堂の上にはこれから登る両子山が屹立している。境内を抜けると山頂方面に舗装された道が延びており、舗装路は始めは杉木立の中を緩やかに登って行くが、高度が上がるにつれ段々急になってくる。薄暗い林床にはアオキが占領しており、昨年の赤い実が所々に残っている。
雨の九重高原から一気にここまで来たので、ビデオカメラは露結現象が生じて動作しない。仕方ないので自然乾燥しながら登って行く。頂上に着くまでは直るように祈りつつ。

舗装道を進んでいくので登山の実感は湧かないが、それでも周囲の自然を観察しながらの登りは楽しい。杉木立が切れて自然林に変わる頃からカーブもきつくなって幾つカーブを曲がっただろうか、四駆車でも切り返し困難なような細いコンクリート道の急カーブはうんざりするほど続く。
山頂近くなると木々の間から大きな鉄塔が見えてきて、あと一息で山頂に着く。



                      山頂には展望台と無線中継塔がある

山頂には展望台があり、その横に一等三角点と山名標識がある。その前で登頂の喜びを声高々にバンザイ三唱した。そうすることで登りの疲れも一気に吹っ飛んでしまうから不思議だ。両子寺の境内から山頂までゆっくり歩いて1時間ほどかかっている。展望台からは 360度の眺望が広がり、間近に国見町の千灯岳(606m)、豊後高田市の屋山(八面山543m)の麓に並石ダムが見えている。

山全体が赤く見える国東町の文殊山(616m)、香々地町と真玉町の境にある尻付山(587m)とハジカミ山(565m)、どの山も富士型の独立峰でこの地方独特の山岳景観を醸し出している。全方向に見晴らしが良いためか、国土交通省など3基の中継アンテナが建ち少し山の景観を損ねている。南西方向にはぼんやりと鶴見岳、由布岳、九重連山が霞んでいた。


                     背割り大岩の下の針の耳を潜っていく

帰りは舗装道路から行者道に入り、七不思議や百体観音を拝観しながら下って行った。二つに裂けた鬼の背割りという大岩は、その昔千徳坊という大力僧が大岩を背で割って通路をあけたという。大岩が重なり人がやっと通れるほどの穴が空いている「針の耳」は腰をかがめて通過しなければならないほど狭く緊張する。この近くに多くの観音像が祀られており、百体観音と呼ばれている。百体観音を過ぎ、鎖を伝って少し降りると舗装した小道に出て、大岩の壁の下に建てられた子授け祈願の奥の院本殿に着く。


                     長い石段を登って行くと奥の院がある

朱塗りの欄干が周囲の緑に映えて印象的である。この奥の院本殿裏の洞窟に湧く『走り水観音冷水』と呼ばれる清水は、不老長寿の霊水といわれ、隠れた名水としても人気が高い。奥の院から長い石段を下って行くと最初の両子寺の境内に下り立つ。振り返ると今登って来た両子山の頂が寺の屋根の上に崇高に聳えていた。

《コースタイム》 両子寺 60分(舗装道)→頂上 30分(行者道)→両子寺 歩行時間 約 1 時間30分
          難易度 12B45  駐車場 両子寺 無料
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