九州山岳紀行 No005-980504 国見岳(くにみだけ) 1739m △1(国見岳)
                       宮崎県椎葉村/熊本県泉村 地図 国見岳(北西)  山岳紀行トップヘ


                         頂上からの眺望は雄大                         

釈迦ヶ岳登頂を果たした私達は阿蘇山を経由して、九州脊梁山脈の最高峰の国見岳1739m に向かう。熊本県と宮崎県の県境に位置する国見岳は熊本県の最高峰でもある。全国的にも名高い平家の落人伝説をもつ、熊本県側の五家荘と宮崎県側の椎葉の間にあるだけあって、深い緑に包まれたどっしりとした奥深い山である。この山へのアクセスは熊本県側からは、矢部町の内大臣という地名の集落を目指して行く。


                           広河原登山口

蘇陽町から国道 218号線を西進して、矢部町に出てから大多良方面へと町道を南下して行き、緑川を渡り大多良を過ぎて更に南下して行くと山深くなって最奥の内大臣の村落に着く。九州中央山地の山間には、かつては秘境とされた五家荘(ごかのしょう)や椎葉(しいば)の村落が点在している。それらには壇ノ浦で没落した平家の子孫と伝えられる人々が暮らしている。内大臣という地名も平清盛の息子である内大臣・小松重盛がこの地まで落ちのびたとされており、それをを偲んで付けられたという。


                         混合林の中を登って行く

ここにはかつては日本一高い橋だった川からの高さ88m、長さ199.5mの目も眩むような渓谷にかけられた内大臣橋を渡り、10分も走ると椎矢峠へと続く内大臣林道の入り口がある。林道は無舗装であるが走りよい。谷沿いに遡ること約15キロメートルで広河原登山口に着いた。登山口は林道右側にあり、10台ほどの駐車スペースがある。すぐに杉林の中の急登である。道はぬかるんでいて歩きにくいじぐざぐが続くが、それだけに高度を稼いで行く。急坂なのでゆっくり登って行く。


           林床に咲くユキザサ                        沢を幾つか横切る

植林帯は手入れが行き届いていないのか、下ばえの雑木がかなり生長して混合林化してきている。途中植林帯を左に登りつめた所が崩壊しており、注意しながら登って行くと右に折れて再び植林帯の中を進んで行く。きつい登りであるが小鳥の声が響いて少しは気持ちが和らぐ。周囲に笹が多くなって来ると下りとなって最初の沢の水場に着く。冷たい水で熱った体にタオルを当てると気持がよい。この辺りから周囲は自然林に変わり、小さな沢を幾つか跨ぎながら山腹をトラバース気味にアップダウンして行く。


          流木の多い沢を横切る                       道筋にあるイチイの巨木

清冽な水が沢筋を流れており水場は豊富である。この沢には天然記念物のベッコウサンショウウオが生息しているらしい。沢筋には台風禍の大小の倒木が至るところに見られ、厚い苔が生えて朽ちかけている。登山道もそんな倒木に行く手を阻まれて、崩落した斜面を巻いたり、アップダウンを繰り返しながら進んで行く。周囲はブナ、モミ、ヒメシャラ、ウチワカエデ、カツラの大木が頭上を覆う自然林だが、倒木で空間が出来ていて周囲は明るくなっている。最後の沢筋で少し休憩して登りにかかる。


          スズタケのトンネルが続く                       ツクシシャクナゲ

暫らく背丈以上の笹のトンネルを泳ぐように進んで行く。所々足元に朽ちた倒木があるので注意が必要である。笹薮を抜ける頃、平家山への分岐があってブナの大木などが目立ち始め、シヤクナゲも見られるようになると頂上は近い。やがてダケカンバなどの林相に変わり、平坦な台地を進んで行くようになる。林床には一面にバイケイソウが群落を作り、オオカメノキの白い花とシャクナゲのビンクの花が緑の中に彩を添える。


         ブナ林を抜けると台地に                       シャクナゲとオオカメノキ

杉の木谷からの分岐に着くと前方に祠の社のある頂上が見えてきた。岩場を登りつめるとそこは国見岳山頂であった。低木に囲まれたさほど広くない頂上で石組みの上に祠が安置されている。向いには露岩に注連縄を張って天降日之宮(あまもりひの宮)を祀っている。


          岩場を登れば頂上                        杉ノ木谷分岐からの頂上

既に数人の先客が居て弁当を広げたり写真などを撮ったりしていた。社の前には一等三角点と山名板が有り、私達も記念撮影をして頂上に立った喜びをバンザイの大合唱で表現した。社の側の露岩の上に立つと眺望は良く、北に祖母、傾の山並、その向こうに阿蘇山が頭を覗かしている。そして脊梁の山々がどこまでも続く。


          北に遠く祖母、傾山                          頂上で記念撮影

暫らく広大な眺望を満悦してビールで乾杯して下山に移る。、真っ白い花を枝一杯に着けたオオカメノキが青空に映えて美しい。満開のシャクナゲに別れを告げて、下りは杉の木谷コースを下山して行く。清々しい自然林から植林の杉林の下りとなる。


          頂上に咲くオオカメノキ                        頂上の山名標識

こちらのコースは道は広くよく踏まれており、途中木材搬出用につけられた広い馬道の跡は傾斜は緩く歩きよい。杉の木谷登山口まで1 時間20分、杉の木谷登山口から車を置いている広河原登山口までの平坦な林道歩きは20分ほどであった。私達は椎矢峠を越えて次の目的地の椎葉村に向かった。

《コースタイム》 内大臣橋 40分→広河原登山口 1 時間→最初の水場 50分→最後の水場 1 時間→
          杉の木谷分岐 10分→頂上 1 時間20分→杉の木谷登山口 20分→広河原登山口 
          歩行時間 4 時間40分  難易度 12B45
          駐車場 登山口の広場  登山道 登りのルート やや悪い 下りのルート 良い
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