四国山岳紀行 No126-971009 次郎笈(じろうぎゅう) 1929m △ 無
                      徳島県三好市東祖谷山/那賀町 地図 剣山(南東)  山岳紀行トップヘ


          剣山から見た次郎笈                    次郎笈山頂の標識

次郎笈はは石鎚山の西に位置する二の森と同じ標高を持つ高峰である。東側の剣山と共に他の峰を圧倒して聳え立つ姿は魅力的である。この山の登山コースは幾つかあるが、今回は最も利用されている剣山を経由して行く見ノ越から登って行く。見ノ越へは貞光から国道 438号線を辿るルート、国道 489号線を祖谷の蔓橋を経由して辿るルートや神山町からのルートがある。いずれも時間的に大差ない。見ノ越からは登山リフトを利用すれば僅か15分程で 7合目に着く。 7合目からは約40分程で頂上に立つことができる。また南側の剣山スーパー林道から登れば最短コースとなる。


           剣神社からの三嶺                         剣神社の石段を上る

今回は見ノ越から剣山頂上まで 4キロの登山道を経由して行く。登山道は剣神社の長い階段を登って行くことから始る。階段を登りつめて境内を右に進むと登山道に入る。向かい側には三嶺の秀峰が目に飛び込んでくる。ブナなど原生林の中の整備された登山道を進んで行くと登山リフトの索道があり、その下のトンネルを抜けると道は二つに分かれる。


                       最初の分岐は西島へ左に進む

右へ真直ぐ進んで行くと少し時間はかかるが緩やかな遊歩道であり、左にコースを取れば時間は短いがじぐざぐの登りとなり、巨岩の下に祀られている西島神社の側を経て、西島キャンプ場の手前で先の遊歩道コースの道と合流する。今回は左へ西島神社の側を通って行くコースを登って行く。ブナの原生林を過ぎると天然ヒノキの巨木が目に飛び込んでくる。樹高30m 胴回り 2〜3m樹齢 300年以上と思われる古木が数本そそり立つ。登山口から40分ほどで巨岩に囲まれた西島神社の下に着く。


          西島神社崖下の急登                        崖下に佇む西島神社

ここから階段状の急坂を登って行くと右からの遊歩道コースと合流する。ここまで来ると前方に視界が開けて剣山の山頂が目に飛び込んでくる。見事に紅葉した原生林の上に山頂が聳え立つ。その西側には朝日を浴びて次郎笈が映える。また谷を隔てた三嶺の姿も美しい。そして遥か遠く西の雄、石鎚山系が浮かぶ。西島キャンプ場を過ぎると登山リフトの終点の西島駅の広場に着く。


           分岐合流点の道標                        庭園の趣の西島手前

眺望が一段と開けて北側には丸笹山、そして矢筈山を中心とする祖谷山塊、手前には塔ノ丸の長い峰が横たわり、広大な眺望が展開する。西島からはコースが左右に分かれる。今回は大剣神社を経て頂上へのコースを取る。眼前には朝日を浴びた原生林の紅葉が一際映える。道脇には霜のかかった草花が震えているようである。それでもこの時期の黄色い花のヤマギクやキリンソウ、紫のタムラソウやリンドウが朝日を浴び、過ぎ行く小春を精一杯に謳歌しているように見える。


          西に聳える三嶺の秀峰                       朝日を受けて次郎笈

西島から20分ほどで石灰岩の巨岩の下に祀られた大剣神社に着く。高度が一段と上がったせいか、ここからも素晴らしい眺望が展開する。塔ノ丸と三嶺の間に遥か遠く赤石山系、笹ヶ峰、伊予富士、瓶ヶ森、石鎚山、二ノ森まで確認できる。大剣神社の前からもコースが二つに分かれるが、今回は右のコースを行く。赤や黄色に染まった原生林を抜けて少しきつい坂道を登りつめると、大岩の下に祀られた剣神社本宮に着く。


         朝日に紅葉が映える剣山                      登山道脇に咲く秋の草花

ヒュッテの前から整備された笹原の中の桟道を通って山頂に向かう。旧測候所の前を過ぎると山頂は近い。それにしても笹の保護のために付けられた桟道は、観光地化されて押し寄せる人々によって、笹原の自然破壊が進行しているこの山の防護策(柵)であるが、これを見て観光優先か自然保護が大事なのか複雑な心境だ。山頂にはケルンに囲まれた一等三角点があり、さすが東の雄の山頂だけあって360 度の眺望が展開する。


                        ケルンの中に剣山の三角点

剣山は太郎笈と呼び、その西側に聳える山が次郎笈(1929m) である。ついでにここまで笈でと手招きしているようである。その次郎笈へと向かう。剣山山頂から次郎笈山頂までは約 1 時間あまりの尾根歩きとなる。次郎笈は三好市東祖谷山、那賀町境にあり、対立している剣山が女性的な山容をしているのに対し、次郎笈はひときわ険しい山容をしており、そのピラミダルな山容に誰もが登頂意欲にかきたてられる。


           次郎笈への縦走路                         縦走路からの剣山

剣山から 快適な笹原の尾根道を 1 時間ほどで三嶺方面への縦走路の分岐のあるピークに着く。ここからワンピッチで次郎笈頂上である。頂上からは今歩いて来た稜線が剣山山頂へと延び、どっしりとした剣山の山容が眼前に聳える。そこから東へ一の森への稜線が続いており、その向こうに天神丸、高城山などの山々が頭を覗かせている。


          三嶺分岐より次郎笈                         次郎笈の頂上に立つ

西側斜面は紅葉したコメツツジの群落が広がり、浅黄色のクマザサとの鮮やかなコントラストを醸し出している。その向こうに丸石、高ノ瀬から三嶺方面に延びる稜線が続く。北側は阿讃山脈の向こうに瀬戸内海を経て中国山地、その奥に雪を冠した大山がぼんやりと霞んでいる。手前に塔ノ丸、その向こうに矢筈山を主峰とする山塊、西には丸石、高ノ瀬、三嶺、奥に中津山、国見山、手前に中東山から石立山が肩を張る。


         次郎笈から槍戸山新九郎山                    次郎笈から石立山中東山

その南には土佐の山々が波打つ。近くには新九郎山から折宇谷山などの山塊が続く。見飽き足らない眺望を後にして往路を下って行く。下山のコースは剣山山頂に寄らずに、山頂手前470mにある分岐を左へ取り、山頂の西側を巻いて大剣神社のご神体の大岩の下に湧いている御神水の側を通って西島へ下るコースを取る。


         次郎笈から塔ノ丸矢筈山                       次郎笈から剣山を望む

トラバース道に入ると三嶺を配した原生林の紅葉が美しい。ほどなく大剣神社の脇に聳える石灰岩の巨岩の下に着く。この岩から染み出た御神水は、その昔、屋島の合戦で破れた平家の一族が安徳帝を擁護してこの地に逃れ、平家再興祈願のため大山祇命(剣神社)へ帝の紐剣と共に、この水で清めたお髪を奉納されたと言われている。


          大剣神社ご神体の大岩                      付近から三嶺が見える

この水は昔から御神水として崇められており、この付近は石灰岩質であるため、ミネラル成分を多く含んでいて長期間腐らず、諸病を治す若返りの水として伝えられている。そんな幾多の伝説を秘めた紅葉の剣山と次郎笈を後にした。

《コースタイム》 見ノ越 40分→西島神社 30分→西島駅 30分→大剣神社 50分→剣山頂上
          1 時間10分→次郎笈頂上 50分→御神水 20分→西島駅 50分→見ノ越 
          登山道 整備されている 歩行時間 6 時間40分 難易度 12B45
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