四国山岳紀行 No112-970501 石立山(いしだてやま) 1708m △2(石立山)
                       高知県香美市/徳島県那賀町 地図 北川(南西)  山岳紀行トップヘ


          甚吉森から見た石立山                      白髪山から見た石立山

石立山(1708m) は剣山と三嶺を結ぶ稜線から、少し南に離れた徳島、高知県境上に位置する石灰岩の山である。概して急傾斜で高知県で一番急な山といわれる。登山口は東西にあるが、今回は西側の高知県側の別府峡登山口からアタックすることにした。高知県最奥の別府バス停で国道 195号線から左に折れ、物部川の上流である槙山川に沿って走ると、間もなくシーズンだけ営業する茶屋が見えて来る。茶屋の手前右下が駐車場で、その奥の赤い鉄製の吊橋が登山口となっている。



                       渓谷に架かる登山口の鉄橋

一帯は別府峡とよばれ、高知県の代表的な紅葉の名所となっている。深い谷に架かる吊橋を渡ると、一気にじぐざぐの急な登りとなり、最初からこの山の険しさが感じられる。道端には季節の木々の花や草花が迎えてくれる。青い花のオウギカヅラ、黄色が鮮やかなヤマブキ、変わった花のユキモチソウ、そしてツクバネウツギなどが目にとまる。


          登山口から急登が続く                       竜頭谷から再び急登

植林帯の急なじぐざぐを繰り返すこと30分あまり、ヒノキの植林の尾根に取り付くとすぐ下りとなり、石灰岩のごろごろした竜頭谷に出る。竜頭谷からは更にきつい登りとなる。確かり足元を確保しないと後戻りしそうな急勾配である。この辺りから幹や枝振りが面白いビャクシンの天然木が至る所にあり、またミツバツツジが咲いており、きつい登りの中にあって少し安らぎを覚える。


                      ビャクシンの茂る石灰岩場の急登

ビャクシンの古木がどれも盆栽のような形をしていて、自然の巧妙な芸術作品に目を奪われる。尾根肩に出ると眼下の谷底に別府の集落が見え、急登だけに高度感が素晴らしい。小さなコブにかかるとコウヤマキ、ツガ、ヒノキなどの巨木の林に入る。立ち枯れした大木にはサルノコシカケが着生しており、この辺り深山の趣を醸し出している。


         谷間に別府の集落が小さく                      原生林の中を行く

林を抜けると1183m の小ピークに出て、今まで見えなかった白髪山方面の北西側の視界が目に飛び込んでくる。また南側から西側にかけての眺望が素晴らしい。赤城尾山、雨岡山、その奥に久々場山が頭を覗かしている。これからの急登に備えて一服入れたい所である。見上げる石灰岩の岩場尾根は、岩角や木の枝を掴んだりしながら登って行くようになる。


                          石灰岩岩場の登り

尾根が細くなって足元が崩壊している緊張する場所があるが、大きなビャクシンが生えているので、転落しないように注意しながら、枝などに掴まって乗り越す。この辺りからアケボノツツジが満開となって目を楽しませてくれる。スズ竹を潜り抜けて尾根を突き上げて行く。高度が上がってきたのか林相が変わり、ブナやダケカンバが見立つようになる。


          木の芽を啄ばむコガラ                          アケボノツツジ

チィチィとコガラの群れが忙しく梢の木の芽を啄ばんでいる。撮影していると、見慣れぬ侵入者に対して、尾羽を激しく立ててアッチケ、アッチケと鋭く警戒の鳴声を発してくる。私にはアッチ行けと聞こえる。あまり彼らを脅かしてはいけないので、縄張りから早々に離れる。竜頭谷から三時間ほどで、急坂を登りきると石立山西峰に着く。


           しんどい西峰の登り                         西峰にある道標

指導標がありここから西に向かうと、石灰岩の捨身ヶ嶽の断崖に出る。石立山の頂上へは右にコースを取り、少し下ってスズ竹の茂るコルを登りつめれば20分程で頂上に着く。捨身ヶ嶽は絶壁となって徳島県側に落ち込んでおり、すぐそれと判る。石立山の頂上までは背丈ほどのスズ竹の中を掻き分けながら、足元に注意して踏跡を進んで行く。眼前にはダケカンバの純林に覆われた頂上が迫って来る。


           樹間より捨身ヶ嶽                          朽ちたブナの大木

頂上には二等三角点があり、側には石立神社の小さな祠があり、北側はダケカンバの林で見通しが利かないが、頂上付近は笹が刈られて見通しが良くなっていた。暫らく頂上からの眺望を楽しもう。南には行者山の向こうに赤城尾山が、その奥には甚吉森西又山などの山並が霞む。西には物部から香我美町にかけて延々と続く山々。


           笹を掻き分け頂上へ                       石立山頂上にて


石立山はアプローチの長い急峻な山だけに、頂上に立ったときの感激はひとしおである。この山は石灰岩質の特異な地質であるので、この山にだけしか育たない植物がある。世界にここにしかない種もあるという。学術上貴重な植物があり、見守っていきたい山の一つである。四国でしんどさ一番の山、それだけに登りがいのある山であった。

《コースタイム》 別府登山口 50分→竜頭谷 80分→1183mピーク 2 時間20分→県境尾根分岐
          (西峰)20分→頂上三角点20分→県境尾根分岐(西峰)70分→1183mピーク
          50分→竜頭谷 50分→登山口 歩行時間 8 時間  難易度 123C5
          駐車場 茶屋の下 登山道 竜頭谷までは良いが先は難路
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