四国山岳紀行 No095-960102 稲積山(いなづみやま) 407m △無
                             香川県観音寺市  地図 観音寺(北西)  山岳紀行トップヘ


                       海岸線に立ち上がる稲積山

香川県三豊平野の北に連なる七宝山系の一つである、稲積山(407m) は稲の神様として信仰を集めている。頂上には稲積神社の本殿があり、1 時間あまりで登ることができ、地元の人に親しまれている。予讃線観音寺駅から北へ 2キロ、市の中心部を流れる財田川を渡ると、海岸近くに特微のあるラクダの背の形をした山が目に入る。


                      高屋神社の裏から参道を登って行く

室本バス停から東に県道に入り、高屋神社に向かう急な参道をつめる。高屋神社の境内の登山口付近の桜が満開となり、その時期、神社の大祭(4月第2土日)が行われて、神輿が稲積神社から降ろされる。祭神は邇々杵命・保食命・咲夜比女命で延喜式の神名帳(平安時代)に「讃岐国刈田郡高屋神社」とある。


                        海浜性樹木のトベラが多い

この社は当初稲積山頂にあったのを慶長五年(1600)頃に山の中腹に移し、さらに宝永十年(1760)年頃に山麓に移したが、里人はその崇をおそれ、天保二年(1831)に山頂の旧地に再び本殿を造営した。山の名をとり稲積社とも呼んでいる。神社裏の広場の奥に石柱が立っている所が登山口となっており、眼前には稲積山前衛の険しそうなピークが迫って来る。


                         ネズミモチとハゼの実

コンクリートの舗装が切れるとじぐざぐの急坂となり、カシ、クヌギなどの樹林帯の中を高度を上げながら暫らく登って行く。この山は海岸に近いせいか、トベラ、ネズミモチ、トショウ、ウバメガシなどの温帯性海浜樹木が多い。祠の祀られた中宮を過ぎると勾配がきつくなり、鉄橋の架かった見晴らしの良い場所に出る。ここからは南西に眺望が開け眼下に海岸線が延びて、県境へと続く。


           石段から荘内半島                         長い石段を登って行く

空気が澄んでいれば燧灘を隔てて、伊予の高嶺の赤星山や赤石連山が見られるだろう。鉄橋を過ぎて左に曲がると直線道となって、赤松や常緑樹の中を緩く進んで行くと、400m程で石段の下に着く。ここから石で築いた270 段の、急な幅の広い石段が頂上の稲積神社まで続いている。石段は大正初期に作られたようで、大きな石柱の側に当時の奉納金と、発起人などの名前が石碑に刻まれている。


                           石段からの眺望

当時の奉納金の1円〜5円は今の100万〜500万円に匹敵するだろうか。重い自然石をここまで担ぎ上げての、この幅の広い石段を真直ぐに築く技術、重機の無い時代の昔の人の根性にはいつも感心させられる。石段を上がるごとに眼下の眺望が大きく開けて、下の鉄橋で見た以上に第一級の広大な眺望が展開する。


                       石段の奥に稲積神社が佇む

直下には讃岐七富士の一つの江甫草(つくも)山の端正なビラミット形が印象的だ。そこから鏡のような燧灘が広がり、対岸に石鎚山から赤石、法皇山脈の伊予の高嶺が雲の上に浮かんでいる。そして近くには三豊平野から立ち上がる、県境の雲辺寺山から若狭峰の奥に、ひと際高く阿波の剣山系が霞む。また北には紫雲出山から三崎まで、荘内半島が見渡せる。


                       神社裏から僅かに仁尾方面

石段を登り詰めると、古びた木の鳥居があり、本殿の境内となる。正面に山上の神社としては立派な構えの稲積神社が佇む。脇には大きな台座の上に狛犬が天に向かって吠えている。手前両側には古びた通夜堂や壊れかかった風呂小屋まであり、昔が偲ばれる。神社の裏手は樹木が茂り眺望は無いが、この時期は落葉しているため、木立の間から仁尾町方面が僅かに望める程度である。


                        南側の眺望は素晴らしい

南側の石段からの眺望は第一級で、海、山、平野、海岸線と雄大である。そんな美しい眺望を楽しみながら下山に移る。稲積山は七宝山の西端にあり、海岸から切り立った山容をしており、古くから地元の信仰の山として親しまれてきた。それだけに山頂には立派な社殿が建ち、登山道は参道として、お祭りには頂上の本殿まで神輿を担ぎ上げていたらしいが、最近は麓の高屋神社で祭礼をして、神輿は登山口までとなっているようである。桜の咲く季節に行われるこの山のお祭りを思い出しながら、信仰と眺望の稲積山を後にした。
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《コースタイム》 高屋神社 60分→頂上稲積神社 40分→高屋神社  歩行時間 約 1 時間40分
          駐車場 高屋神社10〜15台 登山道 整備されている  難易度 1A345
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