四国山岳紀行 No094-951210 豊受山(とようけやま) 1250m △3(鳥子山)
                          愛媛県四国中央市 地図 東予土居(南東)  山岳紀行トップヘ 


                       うっすらと新雪を擁いた豊受山

愛媛県東部宇摩地方を東西に走る法皇山脈、西に行くほど高度を上げ、最高峰の赤星山に続いて豊受山(1250m) がある。この地方は昔から日本三大局地風の一つに数えられる「やまじ風」があり、春先に日本海を低気圧が通過するとき、台風並みの南風が吹き下りて来て、建物や作物に被害をもたらす。この風は豊受山の風穴から吹き出すものと地元の人々に信じられ、今でも年二回この山で風鎮祭が行われている。


                         林道途中にある登山口

豊受山への登山口は、高速道の山際にある豊岡台団地の奥から始るが、林道を10キロほど行った所から植林の中に入る。入り口に登山口の小さな道標が有るので見落とさないように。よく手入れされた植林帯の中を行くと分岐点があり、豊受山へは右のコースを進んで行く。植林帯を抜けると、雑木林の中の川の底のような道を行くようになる。この時期しだいに積雪が多くなり、周囲は冬景色に変わってくる。


          分岐から左へ向かう                        川底のような道が続く

登山道は高度が上がるにつれ次第に急になり、 1 時間あまりで稜線に出る。急斜面ではミニ雪崩が発生して登山道は所々埋まっている。尾根に出ると富郷方面から登って来た豊坂越えの合流点で、山頂へは更に30分ほど西へ稜線歩きとなる。稜線からは所々南に視界が開けて、四国の脊梁山脈が続いているのが見える。


          次第に積雪が多くなる                       稜線の豊坂越えにでる

急な坂道を登って行くと古い木の鳥居があり、アップダウンを繰り返しながら急な稜線を登りつめると、ヒノキの木立に囲まれた豊受神社の広場に着く。五穀の神、豊受神社を祭る社がある。白鳳元年(676) に天武天皇が伊予に下り津根長津宮において御即位の時に、天照大神を村山神社に、豊受大神を豊岡山(現在の豊受山)に奉斎したと伝えられている。


           稜線から南側の眺望                       稜線の奥に頂上を望む

昔から「やまじ風」に悩まされてきた豊岡町大町地区、富郷町豊坂地区の人々が、毎年6月13日(旧暦)と9月13日(新暦)の祭りに「七荷片荷」の「ほかい」に入れ、お供えの団子をお社に運んでご神前に献上している。そして社の側にある風穴にお団子を投げ込んで、風の神を慰め「やまじ風」の吹かない事と、その年の豊穰を祈願している。その山地風が吹き出すといわれる風穴の側には、小さな祠が祀られていた。


         鳥居を潜って豊受け神社へ                     山頂直下の豊受け神社

山頂へは神社の後ろ側の急坂を駆け上がって稜線に取り付き、狭い痩せ尾根を北に詰めると、間もなく三角点のある1247m の頂上に着く。周囲は権木に囲まれて眺望は利かないが、この時期、木立の間から僅かながら、眼下に宇摩地方の街並みが垣間見られ、西側には赤星山が顔を覗かしている。尾根を引き返して南東に詰めると、三度ケ崖という見晴らしの良い場所に出て、眺望は一気に開ける。


                          豊受山山頂三角点

眼下には富郷や別子の谷間、近くには赤星山が雄大な山容で迫り、その奥には二ッ岳が特微のある姿で聳えている。南には野地峰から佐々連尾山に至る雄大な脊梁山脈が続く。東には遠く剣山系の山並が白銀を冠して浮かんでいる。暫らく素晴らしい眺望を楽しもう。豊受山は宇摩地方の霊山の一つとして、地元では「おといこさん」という名前で親しまれている。戦国時代、落人となった美しいお姫様と二人の従者が、三度ケ崖の岩場に隠れ住んだという伝説がある。


            三度ヶ崖の岩場                           七々木より豊受山

私が幼い頃、自宅の縁側から朝な夕なに眺めていた豊受山の切り立った崖を見て、何かしら子供心に好奇心を抱いていた。小学生になって先生に豊受山の崖の質問をして先生を困らせた事もあった。50年後その三度ケ崖の岩場に立ち、幼い頃からの夢が叶えられた事にしばし自分を忘れていた。そんな思い出がある伝説と信仰の豊受山を後にした。


           岩場より西の眺望                          岩場より南の眺望

《コースタイム》 登山口 15分→分岐 60分→稜線(豊坂分岐) 25分→豊受神社 5分→頂上三角点
          10分→三度ケ崖 5分→豊受神社 20分→豊坂分岐 40分→登山口
          登山道 整備されている 歩行時間 約 3 時間 難易度 12B45
          林道終点にも登山口があり、こちらだと15分ほど時間が短縮される 
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