四国山岳紀行 No078-950601 高越山(こおつさん) 1133m △1(高越山)
                               徳島県吉野川市 地図 脇町(南東)  山岳紀行トップヘ


       少年自然の家付近からの高越山                  瀬詰大橋付近から見た高越山

東西緩やかに裾野を引いて阿波富士とも呼ばれる高越山。吉野川中流域の吉野川市山川町に聳える標高1133m の山である。高越山の名称については、一般に高越山に産した楮(穀)から「こおつ山」となったという。また、高く雲影を越え空中にそびえているから、高越山と呼ぶ。高越山へは山川町の中心、ふいご温泉のある湯立地区から県道山川〜奥野井線を進んで行く。



                     高越山手前にある舟窪ツツジ公園

少年自然の家の横を通り、奥野井放牧場を見ながら進むと、間もなく「舟窪ツツジ公園」に到着する。道路の舗装はここで切れるが、林道を更に車で10分ほど行くと「高越寺裏山駐車場」に至る。地元の人々はこの山を「おこっつあん」と呼び、言葉の響きに尊敬の念と親愛の情が感じられる。高越山は修験僧で知られる高越寺と行場のある山で景観に富む。



                        鮮やかな花のオンツツジ

舟窪ツツジ公園は2haもあろうか、樹高 3mから 5mの数百本のオンツツジの群落があり、4月から 5月下旬にかけて真っ赤な花をつけて異彩を放つ。樹齢 300年を越えるものや高さ6mを越えるものがあり、このようにオンツツジの群生しているのは他に例を見ない。昭和60年に国の天然記念物に指定された。そこから林道をつめて行くと立石峠に出る。


                      立石峠からツツジ公園と吉野川

ここからは眼下に吉野川が蛇行し、高越山が眼前に迫る。また谷を隔てて舟窪ツツジ公園が見渡せる所である。更に林道をつめると高越寺裏山駐車場に着く。ここから頂上までは約30分の行程である。「これより霊域」と書かれた結界門を過ぎると、三面大黒天と高越大権現が向かえてくれる。整備されたなだらかな小道を山腹を巻くようにして、登山口のある高越寺に向かう。


                   高越寺の裏門駐車場から結界門をくぐって行く

両側は高越山原生林でブナやカシの大木が天を覆い、林床にはアセビやシキミが茂る。暫らく進むと「やくしだけ」と称する岩場があり、薬師如来と十二神将が祀られており、鎖の懸かった岩場や石仏などが霊場の雰囲気を漂わせている。途中に美光嶺と称する展望台があって、ここからの眺望も良い。蛇行する吉野川を眼下に流域の街並み、東南斜面には奥野井牧場が広がる。


           原生林の中を行く                          やくしだけの岩場

その下には県立少年の家が見える。そして奥野々山、その奥には東宮山などが顔を覗かせている。「山にのぼると海は天まであがってくる、なだれ落ちるような、わかば緑のなか、下のほうでしずかにカッコウが鳴いている、風にふかれて高いところに立つと、だれもしぜんに世の広さを考える、ぼくは手を口にあてて、なんか下のほうに向かってさけびたくなる、

                        美光嶺展望台からの眺望

五月の山はぎらぎらと明るくまぶしい、きみは山頂より上に、青い大きな弧をえがく水平線を見たことがあるか。山頂から小野十三郎」と誌が書かれていた。海こそ見えないがそんな風景にぴったりの展望台からの眺望である。参道脇に植えられたシャクナゲの花が、ロマンチックな風景と重なるように咲いていた。少し行くと高越大天狗が住むという千年杉があり、この山の歴史の古さを物語っている。


          天狗が住むという灯明杉                    高越寺の鐘楼が見えてくる

駐車場から20分ほどで杉の木立の奥に鐘楼が見えて来ると高越寺である。石段の上の重厚な二重屋根の仁王門をくぐると、本堂や高さ10m あまりの金色の錫杖と役行者などの石像が並ぶ。説明板によると「霊峰高越山は、海抜1133m 太古より山伏の修練の道場として、1300年の昔、役之行者小角が開基して蔵王権現(本尊)、千手観音(脇仏)を祀り、弘法大師が 801年28才の時にこの山で修業されたと伝えられている。


                      高越寺の立派な山門と広い境内

吉野川沿いに住む住民はオコーツアンと仰ぎ、弘法大師若き頃登り修業の遺跡あり、また天下の武将は向一倍の力を授かるとの信仰があり、国府の祈祷所として、また庶民の信仰を集め、今日まで法燈が続いている」とある。毎年 8月18日に十八山会式(錫杖祭)が盛大に執り行われている。この日だけは女人禁制で女性は山門内に入れないようである。


                       石段を登り高越神社に向かう

高越山の山頂へは寺の入り口の鐘楼前より、高越神社に至る石段を登って樹齢数百年と思われる杉の大木の並ぶ参道を行く。神社の石段の取り付きには千年杉の巨木があり、その大きさに圧倒される。石段を登りつめると神社のある広場に着く。高越神社は天日鷲命(あめのひわしのみこと)が祀られており、神武帝の時代この地を開拓した祖神を祭っている。


                          高越神社と千年杉

神社の周辺はブナやカエデ、モミなどの欝蒼とした巨木が茂り、神社の左側の小道からつづら折れを二、三繰り返すと 5分ほどで山頂に着く。頂上には立派な弘法大師像が建てられており、周囲は高木の林に囲まれて眺望は利かないが、山の静けさを味わえる所である。この山の三角点は尾根を少し西に下った神社の上にある。


            山頂直下の登り                          頂上の弘法大師像

山頂の南側にはあちこちに行場があり、所々の岩場には小さな祠が祀られており、岩場の開けた所からは南側に視界が開ける。山頂で暫らく休憩して歴史と信仰の山、高越山を後にした。吉野川に架かる瀬詰大橋付近から南に望んだ高越山は、阿波富士と呼ばれるに相応しい秀麗な姿で聳えていた。  次の高越山に行く

《コースタイム》 山川町 50分(車)→舟窪ツツジ公園 5分(車)→高越寺裏山駐車場 20分→高越寺
          5分→高越神社 5分→頂上 10分→高越寺 20分→高越寺裏山駐車場
         登山道 整備されている 歩行時間 約 1 時間 難易度 1A345
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