紀行山岳日記 No029-920814 甲斐駒ヶ岳 2965m △1(甲駒ヶ岳)
               長野県伊那市/山梨県南アルプス市 地図 甲斐駒ヶ岳(南東)  山岳紀行トツプヘ



         摩利支天からの甲斐駒ヶ岳                       甲斐駒ヶ岳山頂にて

8月13日、朝6時30分、私達は長野県戸台口仙竜荘前のバス乗場より、市営バスにて登山口のある北沢峠へと向かう。この南アルプススーパ林道は一般車は通行止めとなっており、市営バスのみが走っている。運転手の巧みなガイドを聞きながら、バスは約1時間ほどで北沢峠に着く。峠で先発の荷物車より手荷物を受け取り、バス停前の長衛荘で宿をとり、今日の登山の予定である仙丈ヶ岳へのアタックを開始したが、断続的に降る雨で四合目と五合目の間の大滝頭で、登山者が寒さとガスで何も見えないと下ってきたのに出会う。私達も今日の登山はあきらめてここから引き返し下山した。そして北沢峠の山小屋長衛荘の中で明日の天候を期待して、ランプの下での長い一日であった。


           川原の中のテント場                         シラビソの中の登りが続く

8月14日。晴れ、雨は止んでいた。午前3時起床、小屋の前で朝食の準備を整えて、北沢峠から10分ほど山梨県側に下った川原の中にあるテント場の幕営地に向かう。ここは標高2000m気温14度、道端にはヤマオダマキやモミジショウマ、クルマユリなどの高山植物が目立つが、シラビソの大木がこんな標高の高い所に林を造っているのは珍しい。幕営地の川原の中にはもう沢山のテント村ができている。早速私達もテントを張って今夜の宿の準備をしておく。幕営の準備が終わって、これから甲斐駒ヶ岳へアタックすることにして、M氏一人を留守番において北沢峠より登山開始である。


             ゴゼンタチバナ                           朝日を受けて射光

第一の前山である双児山へのシラビソの林の中の険しい登りが続く。1時間余り登った林の間から眺望の開けた尾根肩で小休憩を取る。ガスが切れ始めて眺望が開けてくる。足元にはゴゼンタチバナなどの可憐な花が咲いている。いつの間にか朝日の光が林の間に射しこんできた。今日の天気は良いようである。薄霧の中に幾筋もの射光がシラビソの林の間に幻想的な光景を醸し出している。双児山の第一のピークに着くと、木立の間から鋸岳2607mの岩峰が目に飛び込む。更に暫らく登って双児山の第二のピーク2649mに立てば東側手には、今越えてきた双児山第一ピークの向こうに、谷を隔ててスケールの大きな仙丈ヶ岳3033mが聳えている。



           双児山から見た鋸岳                     双児山から仙丈ケ岳 

仙丈ヶ岳の東には谷を隔てて北岳、間ノ岳が聳えている。そして今から登って行く甲斐駒ヶ岳が第二の前山駒津峰の向こうに大きな山容を見せている。7時55分、双児山第二のピーク2643.6mに到着する。北沢峠からここまで約2時間の登りである。南側手には谷を隔てて日本第二の高峰の北岳、その向こうに間ノ岳、農鳥岳などの白峰三山が聳えている。ここからは眼前には第二の前山、駒津峰2750mの奥に甲斐駒ヶ岳2965mがスケールの大きい白い山肌を横たえている。これから駒ヶ岳の第二の前山である駒津峰への長いアプローチにかかる。少し下って這松と礫岩の中の単調な登りが続く。


                  双児山頂から左から北岳、間ノ岳、農鳥岳の白峰三山

森林限界を超えたので登るほどに眺望が開ける。コルから30分ほどで駒津峰2750mの頂上に到着する。目指す駒ヶ岳はここから少し下った谷の向こうに大きな山容を見せている。ここからの尾根筋にはまだ花を付けたキバナシャクナゲが目に付く。痩せ尾根を下った所に六方石という大きな岩があり、ここから駒ヶ岳への岩場の直登ルートと、右へ巻き道を経て頂上へ向かうルートに分かれている。私達は直登ルートを登ることにした。大きな岩場を巻きながら九合目付近まで登ると、少し足元が楽になり所々に高山植物の草花が咲いているのが目に付く。紫紅色のヨツバシオガマ、黄色い花のミヤマダイコンソウ、白い花を散りばめたイワツメクサなどがそよ風に揺れている。


        双児山から駒津峰奥に甲斐駒ヶ岳                   駒津峰から見た甲斐駒ヶ岳

眼前に摩利支天が近ずいて来ると巻き道ルートと合流する。花崗岩が砕けた白い砂利を踏みしめながら、岩の間を息を弾ませながら駆け上ると、甲斐駒ヶ岳2965mの頂上に着く。北沢峠から4時間の行程である。この山は日本七大霊山の一つで、頂上には摩利支天を始め色々な神様が祀られている。信仰の歴史は相当古いらしく、風化した祠や石碑が多く見受けられる。深い谷にはガスが巻き、全山白い花崗岩で異様な雰囲気を感じる山である。


                        六方石と甲斐駒ヶ岳の登り

私達は向かい側の峰続きの摩利支天のピークに立ち寄ってみた。このピークに立つと周囲は切れ落ちているので体が宙に浮いたような錯覚を感じる山であった。ここから眺めた駒ヶ岳は東側が切れ落ちた岩場をもった険しい山に見えた。摩利支天から眺めた甲斐駒ヶ岳はその異様な迫力を充分に見せてくれた。駒津峰でひと休憩して帰りは仙水峠へ下ることにした。ここから仙水峠までは1時間、高度差500m余りの急降下の膝が哂うようなきつい急坂は相当堪えた。


                           甲斐駒ヶ岳の山頂

仙水峠から見上げる甲斐駒ヶ岳は摩利支天を従えて、まるで雪を纏ったような美しい姿で聳えていた。仙水峠でその美しい甲斐駒ヶ岳をバックに、記念撮影をしたりしながら暫らく休憩して幕営地まで下って行く。途中氷河時代の遺物である岩塊群を通過してモミの林を抜け、仙水小屋に着いた。樋から引いた冷たい水が凄く美味しく感じられた。午後2時45分出発地のテント場の幕営地に帰り着く。その夜は快晴で煌々と照る満月の光はテントの中まで明るくするほど輝いていた。明日は仙丈ヶ岳だ。明日の天候も期待できそうである。


                         イワツメクサとタカネビランジ

《コースタイム》 幕営地 10分→北沢峠 2時間→双児山 30分→駒津峰 1時間→甲斐駒ヶ岳 20分→
           摩利支天 40分→駒津峰 1時間→仙水峠 1時間→幕営地 歩行時間 約7時間
           登山道 よく踏まれている 難易度 123C5
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