四国山岳紀行 No020-920503 妹背山(いもせやま) 404m △1(土沖ノ島)

                            高知県宿毛市沖ノ島 地図 母島(南西)  山岳紀行トップヘ

      
           母島港から見た妹背山と頂上にて

5月上旬高知県西南部にある山々を訪ねる。中でも妹背山(404m)は宿毛市から船で2時間ほどの沖ノ島にあり、片島港から一日2便しかない。料金は沖ノ島の母島港まで片道1190円である。この島へ行くには早朝6時30分発の第一便の船に乗り、鵜来島、姫島経由で沖ノ島に渡り、午後3時の第二便で日帰りも出来る。私達は午後2時の第二便に乗り沖ノ島へと向かう。


             荒波を立てて沖ノ島へ                      岩山の黒碆の岩礁

宿毛湾に出るとさすがに波は高くなり、しぶきが甲板に雨のようにかかる。出航して30分余りすると目指す沖ノ島が沖に見えて来る。沖ノ島に近ずくと岩礁が多くなり、付近は磯釣りのメッカとなっている。中でも黒碆という岩峰は海面から30m はあろうか、海に浮かぶちょっとした岩山で迫力がある。

岩礁のふちで釣り人が糸を垂れているのが見える。その東側の二並島は小さな小島で、頂上に大きな松が数本生えているだけである。その側を通り抜けると眼前に沖ノ島の烏帽子岬が近ずいて来る。岬の岩礁にも釣り人が見られる。港が近づいたのか漁船が白波を立てながら通過する。


                沖ノ島母島港                       正面に見える妹背山に向かう

船は灯台のある岬をぐるりと回り込むと入り江があり、ここが沖ノ島の母島港であった。僅かに開けた斜面に数十軒の民家がひな壇のように立ち並んでいる。港は揚げ荷を待つ人が大勢出迎えていた。午後3時15分母島港に着く。私達は急坂の迷路のような家並みの間の坂道を通って今夜の幕営地に向かう。学校裏のキャンプ場までは手荷物が多いので、とりあえず近くの小さな神社の境内を借りることにした。

日没まで余り時間が無いので、幕営の準備をそくさくと先にして妹背山に登って来ることにした。午後3時50分幕営地を出発して妹背山へと向かう。眼前に妹背山が見えているが、往復2時間30分はかかるだろう。車道を歩くこと20分余り村落の高台にある学校裏の登山口に向かう。


          母島港と沖に浮かぶ姫島と鵜来島                 タブの林の中の登山道を行く

この辺りは村落の一番高い所で、母島港と村落を眼下に見下ろすようになっており、学校は小学校と中学校が一緒になっている。その校庭の裏側手から登山道が始っている。登山道はヤブツバキやウバメガシなどが密生する中を登って行く。道脇には大きな葉と花を付けたムサシアブミや黄色い花が目立つキンラン、紫のタツナミソウが目を楽しませてくれる。やがて開けたコルに出る。ここは民家の跡地だろうか大きなツツジが枝一杯に花をつけている。


             大きな葉のムサシアブミ                     黄色の花が目立つキンラン

そこを過ぎると道は稜線の林の中に入って行くようになる。メダケやタブやカゴノキなどの権木の密生している中を進んで行くと、林に囲まれた一等三角点のある頂上に着く。ここは戦時中海軍のレーダ基地が置かれていた所で、その名残りである石積みなどが残っている。かつては見通しのよい所であったのだろう。今は権木が欝蒼と茂って全く眺望が利かない所になっている。私達は記念撮影をして足早に往路を下山する。


         太平洋戦争の名残の砲台跡               頂上で全員登頂記念撮影

登山口まで帰って来ると陽は西に傾き、母島港の沖に浮かぶ逆光の島影のシルエットが美しい。振り返ると今登って来た妹背山が夕日に輝いている。村落の上には幾重にも切り開いた石積みの段々畑が、この島の人達の生活の歴史を物語っていた。天然記念物であるアコウの木がある。亜熱帯植物であるアコウの木が育つのも、四国では南に浮かぶこの島ならではの景観である。


             亜熱帯樹のアコウの木                     石垣で築いた段々畑

幕営地に戻りランプの灯りを囲んで夕宴のひと時が始る。港で買っておいたハマチの刺身を肴にビールと酒で談話が弾む。歌が飛び出す。心地よい酔いが回りいつの間にかテントに潜り込んだ。翌朝一夜を借りた神社の境内ともお別れである。お礼に境内を綺麗に清掃して私達は港に下りる。船の到着までまだ2時間もあるので港周辺を散策してみる。


          捕り立ての朝市が開かれる                 キャンプサイドで夕餉のひと時

港の先に出ると昨日登って来た妹背山がくっきりと朝日に映えていた。早朝より沖で操業していた漁船が一隻また一隻と帰って来る。そして港で市が開かれる。私達も今日のおかずにとトビウオ10尾を1000円で買う。今朝片島港を6時30分発、鵜来島、姫島経由の第一便が定刻に入港する。午前8時30分私達を乗せた定期船は沖ノ島の母島港を定刻に出航した。


           母島港に入港してくる定期船                   孤島に聳える妹背山を後にする

荒波に浮かぶ沖ノ島に聳える妹背山、妹背山の名前の由来は、昔この島に漂着した幼い兄と妹が農耕をしながら、やがて夫婦になるという伝説から生まれた。また藩政時代には島は南と北に二分されて、北の母島は伊予領で南の広瀬は土佐領であった。そして両藩の国境争いは15年も続いて両村の交流は硬く禁じられ、島民の生活は不便極まりなかったに違いない。そんな歴史をずっと見つめてきた妹背山は島の中央にどっしりと聳えていた。

《コースタイム》片島港 1時間15分(船)→母島港 20分→登山口 1時間15分→妹背山 1時間→登山口
         15分→母島港 1時間15分(船)→片島港 登山道 コルまでは整備されている
         歩行時間 約2時間50分 難易度 1A345

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