四国山岳紀行 No012-900501 赤星山(あかぼしやま) 1453m △2(赤星山)  
                             愛媛県四国中央市 地図 弟地(北東)  山岳紀行トップヘ


          豊岡付近から見た赤星山                     見事な機滝
 
赤星山(1453m) は夏アルファー星の赤い星アンタレスが、この山の真上に輝くことからこの山の名前が付いたともいわれる。赤星は古来より豊年星と呼ばれて農耕の神として崇められてきた。愛媛徳島県境から海岸線に沿って派生する、中央構造線の法皇山脈の西端に位置する赤星山は、ひと際高く美しい形をして聳えている。そしてこの山から断崖層を北流する渓谷は皇子渓谷と呼ばれ、流路勾配が大きくほぼ1000m から真直ぐ下り落ちる。機滝、紅葉滝、布引滝、千丈滝などの瀑を架け、変化に富んだ渓谷美を醸し出している。


              皇子渓谷                       ヤマブキの花

5月上旬この渓谷から頂上を目指した。丸木橋を渡ると渓谷沿いには黄色いヤマブキの花が枝を垂れ目を楽しませてくれる。またゴヨウアケビの紫の花も風に揺れている。幾つか沢を渡りながら「機滝」の下に着く。高さ20m 幅15m ほどの岩壁から名の如く、機織の糸を引いたように流れ落ちる様は素晴らしい。真下に近ずくとその水しぶきに陽の逆光が反射して花火のように光る。滝つぼに落ちる飛沫は柔らかくさざ波を立てている。椿の花が一輪清い流れに浮かんで流れて行った。


             アケビの花                       断崖層の千丈滝

機滝から登山道に戻って少し登って行くと、今度は水量の多い「紅葉滝」が見えてくる。周囲にはモミジが多いのでこの名前が付いたのだろう。秋の紅葉の季節には素晴らしいと思いながら進んで行くと、細長い布を引いたような「布引滝」が現れる。以前は「褌晒(ふんどしさらし)滝」と言っていたそうだ。細い斜面を滑り流れるように落ちて行く様は、褌ならずとも人が滑って行っても面白いだろうと思いながら、暫らく見つめていた。その布引滝の側を過ぎると、山側の崖から水の雫が無数に落ちている「群れしずく」という場所がある。山から染み出して来た地下水がここで出ているのだろう。年中涸れた事が無いこの無数の雫は独特な景観を醸し出している。ここから少し進んで沢を渡り左岸に取り付いて行くと、古い造林小屋がある。そこを過ぎると右岸に取り付き再び左岸に取り付いて進んで行くと、電光形に見える稲妻滝が現れる。その側を過ぎて再び右岸を進んで行くが、この辺りは道が悪く迷い易いので注意しょう。


             エンレイソウ                           ハシリドコロ(猛毒)

谷を一つ過ぎると道は左右に分かれる。左へ進んで行くと人工林の中を登って行くメインルートだが、今回は右へ進んで千丈滝へのコースをとる。このコースは道が悪いので、ルートハンテングを確り見定めて進んで行く。特に左岸に移る際には取り付きの道がはっきりしない箇所がある。涸れ沢を左岸に取り付いて進んで行くと、前方に機滝に次ぐこの渓谷二番目に大きい「千丈滝」が見えてくる。機滝に似ているが傾斜がやや緩く少し小振りであるが迫力はある。滝の下に立てば実感できるが、道は無いのであまりお勧めはできない。この滝の上には更に二段構えの「天竜ノ滝」という立派な滝が落ちており、この谷の最後のクライマックスとなる。


        頂上から二ッ岳、赤石山方面              頂上から工石山と白髪山方面

踏み跡のようなはっきりしない急坂の道は息があがるが、これらの滝を巻いて登って行くと、ゆったりとした沢の上部に着く。ここで少し休憩して行こう。一息入れたら右岸に渡り、少し登り返すと人工林の中を登って来たメインルートと合流する。ここから右にメインルートを進んで行くと、沢の上部の最後の水場を通過する。道脇の林床には芽生えたばかりのハシリドコロやエンレイソウ、ヤブレガサなどが群落を作っている。ナスの花を細長くしたような茶褐色の花を付けたハシリドコロは、一見柔らかそうな山菜に見えるが猛毒(アルカロイド)を持っており、これを食べると幻覚症状を起こして、走り回るのでこのような名前が付いたのだという。


         頂上付近の林間にに咲くカタクリの花           林床に芽生えたヤブレガサの新葉

稜線に出てシャクナゲ林の中を進んで行く。古い木の鳥居を潜って権木帯の中を登り詰めると、三角点付近の頂上に着く。頂上は広く中ほどに大きな電波反射板が二基建っている。(現在は撤去されている) 先ず南西側に聳える二ッ岳が目に飛び込んでくる。それに続く峨蔵山塊の向こうに赤石山塊が奥に見えている。北側は権木の間から燧灘が霞んで見え、四坂島の向こうに高縄半島がぼんやりと横たわる。頂上付近の林床にはピンクの可憐なカタクリの花が群落をつくっている。芽吹き始めた木の枝から枝へと、コガラがチッチッと鳴きながら忙しそうに木の芽を啄ばんでいる。そんな一足遅い春の訪れが始ったばかりの赤星山であった。

《コースタイム》 登山口 50分→機滝 5分→紅葉滝 5分→布引滝 10分→営林小屋 20分→稲妻滝
          20分→分岐 40分→千丈滝 30分→分岐 30分→最後の水場 20分→稜線 20分→
          頂上 下りは約3時間  歩行時間 約7時間10分 難易度 123C5
          駐車場 林道終点に10台程 登山道 やや難箇所有り
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