四国山岳紀行 No010-891026 白髪山(しらがやま) 1469m △3(上関)
                                高知県本山町 地図 本山(北東)  山岳紀行トップヘ


           山頂付近の白骨樹                       工石山から見た白髪山

白髪山という山は高知県に二つあるが、こちらは本山町にある白髪山(1470m) である。この山への登山口は幾つかあるが、今回は冬ノ瀬から奥白髪林道をつめる事にした。本山町吉野から伊予三島へ抜ける県道を汗見川沿いに遡ると、冬ノ瀬という小さな集落がある。ここから林道を7キロほど車で入ると登山口に着く。ここは奥白髪林道でこの林道は工石山登山口を経て仁尾ヶ内に通じている。


          落差60mの白髪の滝                        奥白髪林道登山口

登山口には清水を引いている水場がある。ここから白髪山北側からの登山開始である。頂上までは約3キロ1時間半の行程である。少し登ると平らなブナ林に出る。天高く枝を広げるブナ林は見事である。この辺りから学術保護林として県立自然公園に指定され鳥獣保護区でもある。随所に小鳥の巣箱がかけられて登山道もよく整備されている。


           青空に紅葉が映える                        沢を渡る場所もある

周囲の木々は深まり行く秋に、赤や黄色に色付いた木の葉が美しいコントラストを醸し出している。渓流にさしかかると冷たい水が岩の間からほとばしり、この山の森林の深いことを感じる。300m間隔位か道標が立ててあり、登山者に語りかける文章はなかなか親切である。立派なヒノキやツガ、ゴヨウマツの原生林の中を登って行くが、その下にはホンシャクナゲが実に多い。


                         古木の間を登って行く

朽果てた大木の根にシヤクナゲの根が絡んで着生し、至る所に自然の新陳代謝が見られる。見事な根上りのヒノキも多くあり、異様な深山の雰囲気を醸し出している。登山道はそんな木々の根の露出した階段状になった所を登って行くので、足元に注意が必要である。かっては沢筋だった所が登山道となったのであろうか、大小の石がゴロゴロして木の根が地上を這い歩き難い道である。


                        桧に混じって五葉松も多い

だがこの辺りの森林は実に見事であり、数百年経ったゴヨウマツも混じって、天高く空を覆い立派な森林を形成している。その下にはシャクナゲがこれまた見事な群生をして、林床にはツルシキミが赤い実を一面につけている。白髪山のヒノキが脚光を浴びるのは、藩政時代で江戸城や騒布城などの普請けのため、一万二千本のヒノキを幕府に献上したという。その後財政窮迫の土佐藩はこの良質のヒノキを市場に送って、藩の財政を一気に立て直したという。


                        根元が露出した桧の古木

渓流の音が遠ざかると頂上は近いのだろうか、辺りは一層静まり返って倒木にはコケが生え、いかにも深山に来た感じである。周囲が明るくなって平になると、南側からの帰全山七戸方面からの登山道との合流点に出た。最後の15番目の標識を見てここから岩場を少し登ると頂上は近い。白髪山は古くはここに住む巨人や山猫に関する伝説が多く、近くは蛇紋岩に含まれる鉄の影響により、磁石の狂う山として話題になった。


          頂上直下の分岐の標識                       ヤマウルシノ紅葉

ことにこの山のヒノキの美しさは魚梁瀬地方の杉と共に、高知県の二大美林とまでいわれるが、この林は今登って来た山の北斜面に発達している。南斜面の頂上近くでは成長も悪く風衝地であるためか、樹木は枯木となった白骨樹が多く林立し、特有の景観を成している。そんな景観に因み白髪山という名が付けられたという。山頂は蛇紋岩の露出した岩場であるが、南面に展開する眺望が素晴らしい。


                        山頂周辺の桧の白骨樹

目の前にはきびす山、その右下には早明浦ダムが横たわり、帯のように吉野川が見えている。そして山頂南面一帯に林立するヒノキやツガの白骨林が素晴らしい。西に遠く筒上山や手箱山などの石鎚山系が望める。南の眼下には吉野川沿いの本山町の街並みが見えている。東側には野鹿池山を始め、土佐阿波国境の山並が重なる。山頂で暫らく休憩して白骨樹と眺望の広がる白髪山を後にした。

《コースタイム》 登山口 1時間30分→頂上 1時間10分→登山口 歩行時間 約2時間40分
          駐車場 登山口の路肩に5〜6台 登山道 整備されている  難易度 12B45
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